TPP システムからの脱却 誰かのために

われわれは、韓国のあとを追いかけるべきなのか?
TPP参加に意欲を示す経団連と野田政権。
日本は置いてきぼりを食らうのか?

「宮台真司がTPPやむなしの意見を反対に変えた理由」は示唆的だ。

<宮台真司がTPPやむなしの意見を反対に変えた理由>

社会学者の宮台真司氏の著作は読んだことないのだが、音楽家・小林武史との対談を読むと、彼の思考が辿れて、共感できる内容だった。ちょっと長いので、興味ある方はどうぞ。「世界の手触りを失うな」
<世界の手触りを失うな」小林武史×宮台真司>

宮台真司氏によると「スローフードはロハスと違うのだ」という。
スローフードは「食の共同自治」の問題で、「ソーシャルスタイル」だが、「ロハス」は個人的嗜好の「ライフスタイル」にしか過ぎない。

「うまい、速い、安い」もいいけど、それだと地元商店が潰れ、地元農家が潰れて、自立的経済圏が崩れて、町の人間関係や街並みや文化や匂いまで失われてしまうから、「うまい、速い、安い」を追求する個人的選択肢は放棄しよう。そういうのが、ソーシャルスタイルとしてのスローフードの呼びかけだったはずです。別の言い方をすると、ライフスタイルは、資本主義的な市場への盲従的依存ですけど、ソーシャルスタイルは、仲間の絆が失われないように資本主義的な市場に是々非々でどう対処するべきなのかという話なんですよね。だから、まず「ライフスタイルからソーシャルスタイルへ」っていう話をリアルに理解してもらうための仕掛けが必要です。


そこで彼は、消費や投資をする経済的主体が「社会にいいことをすると儲かる」と思えるようにする必要性を説く。「共同体自治を支援するような投資」がマネーゲームのプレイヤーになるような税制や補助金の提案が大切なのだ、と。

つまり「便利」や「快適」よりも深いところに「幸福」があって、「幸福」よりもさらに深いところに「尊厳」があるってことが分からないといけません。「快適」で「便利」だけど「幸福」じゃないこともあるし、「家族の幸せを満喫している」けど「何か物足りない」っていう実存の問題が人間にはありうるわけです。ところが、日本人はこのことに鈍感です。


かつて宮台真司氏は「終わりなき日常をまったりと生きろ」と言った。
彼は今、「不可能性を知りつつ、絆を求めて生きろ」と語る。

すべてがフラット化した街。渋谷も新宿も同じような街になり、90年代に入り危険な場所は除去され、スキマや余剰は消去された。

空間からあらゆるスキマや余剰を消去してフラット化することで、子供たちは幸せになるのか。何もかもを行政に「依存」することで、僕たちは幸せになるのか。違うでしょう。自分たちで自分たちをハンドリングする「自立」なくして、強度はなく、幸せもあり得ません。ノイズやリスクを消去した環境こそが子供には良い、といった思い込みの延長線上に、東京都の条例改正にみられるような有害メディア規制があります。


「システムに依存した社会」からの脱却。スーパーフラットな街が自明だと、余剰やスキマのない環境、ノイズやリスクのない環境で育つことは、ノイズレスな〈システム〉への「依存」が当たり前になること。

便利」と「快適」があれば大丈夫というのは短見で、実はそんなことでは人は「幸せ」も「尊厳」も得られません。似た話で、「絶対安全」な堤防や原発を作れば大丈夫というのは短見で、実はそんなことでは人は自分も社会も守ることはできません。むしろ社会は、そこそこ不便、そこそこ不快、そこそこ危険なのが良いのです。

社会が「そこそこ危険」であれば、僕らは自明性に「依存」せず、危険に対処する知恵を獲得し、「自立」できる。さもないと、僕らは「依存」した結果、「世界の手触り」を失うんですよ。

日本ではあらゆる主体が中央行政に依存しすぎ、「任せる政治」になっています。原発事故の問題も、「任せてるんだから、もっとちゃんとやれ、原発なんか使うな」という話に短絡している。そうじゃなく、「任せていられない、自分たちでファンドを作って、地域電力会社を引き受けます」という具合に、自立した「引き受ける政治」が必要です。


「世界の手触り」を失わないように、地域ごとに自立したシステムをどう構築できるか?巨大な「システム」に依存するのではなく、自分たち同士の顔が見える「食の共同体自治」「エネルギーの共同体自治」を築くこと。


長くなってしまったが、僕がいつも意見を参考にする内田樹氏が格差問題についてこんなことを書いている。
<内田樹の研究室>

格差が進行している最大の理由は「社会上層にいる人間たち」がその特権を自分の才能と自己努力に対する報酬であり、それゆえ誰ともわかちあうべきではないと信じ込んでいる点にあります。

人間が努力をするのは、それが「自分のため」だからではありません。「他の人のため」に働くときです。ぎりぎりに追い詰められたときに、それが自分の利益だけにかかわることなら、人間はわりとあっさり努力を放棄してしまいます。「私が努力を放棄しても、困るのは私だけだ」からです。でも、もし自分が努力を止めてしまったら、それで誰かが深く苦しみ、傷つくことになると思ったら、人間は簡単には努力を止められない。自分のために戦う人間は弱く、守るものがいる人間は強い。これは経験的にはきわめて蓋然性の高い命題です。「オレがここで死んでも困るのはオレだけだ」と思う人間と、「《彼ら》のためにも、オレはこんなところで死ぬわけにはゆかない」と思う人間では、ぎりぎりの局面でのふんばり方がまるで違う。

日本の若者が非活性的なのは、「自己利益の追求に励め。競争相手を蹴落として社会上層に這い上がれ」というアオリが無効だったからです。


人は「誰かのために」何かをする時に強くなれる。「自分のため」に頑張るのではない。自由競争による格差社会が問題なのは、「自分ために」に勝ち抜くという価値観に問題があるのだ。地域の公共性や絆の問題が、深く必要とされている価値観なのだ。
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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