「八日目の蝉」成島出

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原作を忠実に映画化した印象。赤ちゃんを誘拐した哀しき女・永作博美と子供の逃亡物語と、その少女が成人し、自らの過去を取り戻す井上真央の二つの物語を同時に、それぞれの場面をシンクロさせながら描いているのが見やすかった。原作では、前半の誘拐劇と後半の成人した女の子の物語がそれぞれ描かれていたが、映画は同時進行で、時間を超えて場所が重なり合う。エンジェルホームや、フェリー乗り場や、海や空、島の風景が。

小豆島の美しい自然に囲まれた懐かしき日本の原風景がいい。蝉や虫たちの声、森や空や海が、この映画の息詰まる哀しさや閉塞感を解放し、ホッとさせてくれる。夕暮れの棚田に村人たちの松明の炎が点々と灯る夏祭りが美しい。彼女の哀しみの逃亡劇を終わらせるキッカケとなる場面だけに、この場面の夢のような美しさはとても重要だったと思う。

井上真央につきまとう猫背の小池栄子が巧い。癖のあるしゃべり方も良かった。また田中哲司や劇団ひとりなどのダメ男たちもはまり役だった。ラストの写真屋の主人の田中泯の存在感にはいつもながら驚かされる。

赤ちゃんを誘拐するなんて…なんてヒドイ女!と思わせる物語なのに、その女の哀しみの母性に感動させられてしまうのは、原作の女性を見つめる目の確かさだろう。素直に感動できる良心的な映画になっていると思う。

原作レビュー
角田光代「八日目の蝉」

製作国:2011年日本映画
配給:松竹
上映時間:147分
監督:成島出
原作:角田光代
脚本:奥寺佐渡子
キャスト:井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、田中哲司、市川実和子、平田満、劇団ひとり、余貴美子、田中泯、風吹ジュン

☆☆☆3
(ヨ)
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