「ロープ」アルフレッド・ヒッチコック

全編ワンショットで撮影されたヒッチコックの実験作。彼のカラー映画第一作でもあったらしい。ただ当時のカメラは、1回の撮影で1000フィート、10分しか撮れないので、黒味などで10分ごとにつないでいるそうだ。背中にカメラがぶつかって黒味になるのはそのせいだったのか・・・。フィルム代もかかったことだろう。

3つの部屋をカメラがレール移動しながら、登場人物をカメラにワンカットでおさめていく。まさに演劇的な映画だ。つまり、物語は回想や時間とばしや場面転換など一切なく、物語の時間と映画の時間が全て同じということだ。ただ、練られている脚本でもあり、カメラも自在に動くので、それほど強引な印象はない。

原作の戯曲ではルパート教授(ジェームズ・スチュワート)もゲイで犯人の青年2人とは関係があったという設定だったらしいが、当時のプロダクション規制でなくなったそうだ。物語としては、ゲイ関係の方が心理描写のやりとりに深みが生まれ、面白かったと思う。

死体を隠したチェストの上で、食事や酒を飲み、わざわざ被害者の婚約者や両親を呼んでパーティーをするという完全犯罪を楽しむかのような犯人の2人。家政婦が、食事をしていたチェストを片付け、チェストを開けて本をしまおうとする場面のカメラワークなど、ドキドキする巧さ。カット割りしないことで、わざとらしくないシチュエーションが楽しめる。だけど、撮影する側はさぞかし大変だっただろう。カメラマン、照明、音声、美術、セリフを覚えなければいけない役者も含めて、撮影に数々の困難が伴ったことが想像される。それだけ苦労して撮った効果が出ていたかというと、やや空回りな印象。ヒッチコックが、撮影テクニックにこだわりすぎたような気がする。

ただ演劇的な緊張感を演出する意味で、ワンカットの長廻しは効果的になる。映画術を知る上で格好の勉強素材の映画かもしれない。


製作 1948年 トランスアトランティック・ピクチャーズ・プロ/ワーナー アメリカ作品
原題: Rope
監督: アフルレッド・ヒッチコック
原作: パトリック・ハミルトン
脚本: ヒューム・クローニン、アーサー・ローレンツ
撮影: ジョセフ・バレンタイン、ウィリアム・V・スコール
音楽: フランシス・プーランク、レオ・F・フォブスタイン
出演: ジェームズ・スチュワート、ジョン・ドール、ジョーン・チャンドラー

☆☆☆3
(ロ)
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