「ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー」

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ゴダールとトリュフォーの友情と決裂の軌跡である。そして二人の申し子、ジャン=ピエール・レオ。

カンヌ映画祭に登場して大反響を呼んだトリュフォーの『大人は判ってくれない』の衝撃。長い移動撮影の最後に海にたどり着いたアントワーヌ・ドワネル少年(ジャン=ピエール・レオ)が、カメラを見つめるストップモーションで映画は終わる。このジャン=ピエール・レオの視線からヌーヴェルヴァーグは始まった。ゴダールの『勝手にしやがれ』のラストもジーン・セバーグのカメラを見つめる顔だ。スクリーンの向こう側の観客に投げかけるこの視線。これは、イングマール・ベルイマンの『不良少女モニカ』(1952)の少女の魅力的な表情を捉えた挑発的な顔のアップが影響を与えているらしい。(ベルイマンのこの映画は残念ながら観ていない。)

ゴダールの『勝手にしやがれ』は、トリュフォーが事件の切り抜きで原案を作り、ゴダール自らが台詞を書いて映画化した。ベルモンドがよたよたと道路をつんのめるように倒れる有名なラストシーン。路上を歩く人々は明らかにエキストラではなく、一般の通行人であり、映画がゲリラ撮影であったことがよくわかる。「路上でまだ名の知れていない俳優を少数のスタッフだけで追いかけて撮影した」と説明がされるが、なんだか当時の熱い若い映画青年たちの情熱があらためて伝わってくる。

ヌーヴェルヴァーグは、カメラを町に持ち出して「現実を盗む」ように、映画をスタジオの虚構からリアルな現実の中に解放した。

その後、トリュフォーもゴダールも興行的には失敗し、ヌーヴェルヴァーグの熱も冷めていくが、二人は協力し合ってそれぞれの映画を作り続けた。しかし、5月革命前夜のカンヌ映画祭中止を求めて活動する頃から亀裂が生まれ始める。激しく檄を飛ばすゴダールとトリュフオーの温度差が撮影されている。どんどん政治的になっていくゴダールと映画そのものにこだわり続けたトリュフォー。その後、『アメリカの夜』を撮ったトリュフォーにゴダールが批判をこめて書いた手紙とそのトリュフォーの返信内容が紹介される。これで二人の決裂関係が決定的になったのだ。

あらためて二人の映画を見直したい欲望に駆られた。それと同時に二人が敬愛したフリッツ・ラングやニコラス・レイやハワード・ホークスもちゃんと見ないとなぁと思った次第です。

それから、ジャン=ピエール・レオが言っていたけれど、ゴダールが俳優に細かい台詞の言い方や仕草にまで演出をつけるという話はちょっと驚きでした。

ドキュメンタリーとしては、それほど面白くもなかった。若きゴダールとトリュフォーが観れたというだけです。二人が一緒に作ったりした初期の短編を観てみたい。ロメールやリヴェットやシャブロルなど、他のヌーヴェルヴァーグのメンバーは、ほとんど出てこなかった。ヌーヴェルヴァーグそのものとは何か?というドキュメンタリーというよりも、ゴダールとトリュフォーの関係を中心に過去の映像を構成した映画です。


原題:DEUX DE LA VAGUE
製作年:2010年
製作国:フランス
日本公開: 2011年7月30日
監督・製作: エマニュエル・ローラン
脚本: アントワーヌ・ド・ベック
撮影: ニコラス・ド・ペンシエ/ エティエンヌ・カルトン・ド・グラモン
キャスト:フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、ジャン=ピエール・レオ、イジルド・ル・ベスコ

☆☆☆3
(フ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : ドキュメンタリー

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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