「抵抗 死刑囚の手記より」ロベール・ブレッソン

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ロベール・ブレッソンの初期の映画。1943年、ドイツ占領下のフランス・リヨン。仏軍レジスタンスのフォンテーヌ中尉は、独軍に捕らえられ、モントリュック刑務所に入獄する。彼は独房に入れられ、死刑を宣告されるが、独力で脱獄をするまでを描いた映画だ。

これはほとんど『スリ』と同じ一人称的モノローグ映画だ。『スリ』がスリ行為の手の動きを延々と描き続けたように、この映画は独房に入れられた囚人が脱獄するまでの準備を延々と行なうだけの映画だ。手の動きを描いたという意味でも同じだ。

冒頭、収監される車から飛び降りるまでの手の動きで始まり、独房に入れられてからは、スプーンを使って扉の板を削って外し、ベッドの針金と布を使っての縄作り。日々繰返される反復の動作の中で、職人技のように手作業で脱獄の道具が作り出される。黙々と続くその作業が描かれ続けるのだ。そして脱獄についての小さなメモは囚人の手から手へと渡される。『スリ』で財布が手から手へと渡されるように。カメラは狭い世界だけを切り取る。それが刑務所内の息づまる空気を描いている。ロングショットはほとんどない。当然会話もほとんどない。囚人たちの目配せの視線と手の動き。脱獄シーンでも脱獄する囚人たちのみを写し続ける。刑務所自体のロングもないし、看守はほとんど写らない。看守が殺されるシーンもいつものように画面の外だ。

ただ、ものすごく効果的に音が使われているのだ。写らない映像と音が脱獄の緊迫感を盛り上げている。逃げる靴音や看守や自分の靴音、鍵束を手すりで看守が鳴らす音や汽笛や汽車が走る音、看守の自転車のキーキーという音などなど。画面から聴こえてくる音で、周りの状況を描き、写っていない映像を観客に想像させる。この映画では、音楽も使われているが、音の使い方は映像の従属物では決してない。そこがこの映画の凄いところだ。

描かれているのは、ドラマチックな人物描写ではなく、一人称の手の動きと視線のみ。退屈ともいえる単調な物語なのに、なぜかドキドキする緊迫感に溢れている。

原題: Un condamné à mort s'est échappé ou Le vent souffle où il veut
製作国: 1956年フランス映画
配給: クレストインターナショナル
上映時間: 97分

監督・脚本: ロベール・ブレッソン
製作総指揮: ジャン・テュイエ、アラン・ポワール
原作: アンドレ・ドゥビニー
撮影: レオンス=アンリ・ビュレル
美術: ピエール・シャルボニエ 
編集: レイモン・ラミ
キャスト: フランソワ・ルテリエ、ロジェ・トレルヌ、シャルル・ル・クランシュ

☆☆☆☆☆5
(テ)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

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