「北京の55日」ニコラス・レイ

ニコラス・レイは、この映画の撮影途中に心臓発作で体調を壊し、降板したらしい。そして、しばらく映画が撮れなくなり、この映画以降、商業映画から遠ざかることになった。その後、1972年ニューヨーク大学の講師に就任。そこでジム・ジャームッシュと出会う。さらにヴィム・ヴェンダースの『アメリカの友人』(1977年)に出演し、『ニックス・ムービー/水上の稲妻』(1980年)ではヴェンダースと共同監督し、1979年に亡くなった。フランス・ヌーヴェルバーグのトリュフォーやゴダール、そしてジム・ジャームッシュにヴィム・ヴェンダースなど、多くの映画監督に影響を与えた。

ゴダールが書いている。「かつて演劇があった。これはグリフィスである。それから絵画があった。これはロッセリーニ。音楽があった。ルノワールである。それから舞踏があった。エイゼンシュテインである。しかし今日映画がある。映画とはニコラス・レイのことである。」そして、『メイド・イン・USA』の最後で、「われわれを映像と音への尊敬の中で育ててくれた」ニコラス・レイとサミュエル・フラーへの献辞を付け、映画を捧げている。


ニコラス・レイは、『北京の55日』の劇中わざわざ、病身の車椅子アメリカ公使という役柄で俳優として出演。「私にはここにおいて意思表明の権利を持たない。投票を放棄する」と台詞を語っている。

だがしかし、この映画は全く面白くない。清王朝末期の滞在外国人の55日間の闘いと愛を描いた一大歴史スペクタクルだが、取り立てて語るべきことはない。

西太后が執政する清王朝、1900年の初夏。外国人排斥を訴えて武装蜂起した義和団のせいで、中国に滞在する外国人の不安が高まっていた。列強11ヵ国とは、ロシア、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、オーストリア・ハンガリー、スペイン、ベルギー、オランダ、アメリカ、そして日本。冒頭、各国の国旗が掲揚され軍楽隊の演奏する各国の国歌が流れていくる。君が代も聞えてくる。中国でありながら、列強各国が中国を支配下に置こうとさぐりあって共存している奇妙な中間地帯。

アメリカ海兵隊、ルイス少佐(チャールトン・ヘストン)とロシア男爵未亡人ナタリー(エヴァ・ガードナー)との恋、ロバートソン卿(デイヴィッド・ニーヴン)の主催する華麗なる舞踏会、アメリカ海兵隊員が亡くなり孤児となった黒髪の混血娘、そして派手な戦闘シーン。スペインでロケされた北京城の大掛かりなセットで多くのエキストラを使った大作だが、見せ場もあまりない。伊丹十三が日本軍の中佐として出演している。


原題:55 Days at Peking(1963)
製作国:アメリカ
監督:ニコラス・レイ
脚本:フィリップ・ヨーダン、バーナード・ゴードン
撮影:ジャック・ヒルデヤード
音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:チャールトン・ヘストン、エヴァ・ガードナー、デヴィッド・ニーヴン、伊丹十三
   ジョン・アイアランド、フローラ・ロブソン、ハリー・アンドリュース、ウォルター・ゴテル

☆☆2
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