「ヒューゴの不思議な発明」マーティン・スコセッシ

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最終日ギリギリに駆けこんでやっと観ました。代表的なアメリカの映画人マーティン・スコセッシが、フランス人の映像魔術師ジョルジュ・メリエスにオマージュを捧げ、『アーティスト』ではフランス人監督がハリウッドの無声映画への映画愛を形にした。同じ時期にアメリカとフランスの映画人がお互いの国の原点ともいえる映画文化に愛を捧げたのは、偶然なのか営業戦略なのかどうかわからないが、今ある映画が先人たちの財産とともにあることは間違いのないことだし、その原点への愛と感謝なくして映画など作るべきではないという意味で正当な映画だ。

この映画は、駅の時計台に住む孤児である主人公ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)とその敵である鉄道公安官(サシャ・バロン・コーエン)との追いかけっこと後半展開されるジョルジュ・メリエスの伝記映画という二つの要素からなる。その二つの物語をつなぐのは、少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)の存在だ。本好きの彼女とともにヒューゴは、本の世界から映画の世界へと旅立つ。父の形見の機械仕掛けの自動人形の謎とともに。この自動人形は映画『メトロポリス』を思い出させる。

映画は、メリエスへの愛とともに様々な歴史的映画が引用されている。映画として最初に世に驚きをもたらした有名なリュミエール兄弟の『シオタ駅への列車の到着』は、ヒューゴの悪夢をはじめ、何度もスクリーンに蒸気機関車を突進させているし、ヒューゴとイザベルが忍び込んだ映画館で観た『ロイドの要心無用』(1923年)の時計の針にぶら下がるアクションは、鉄道公安官との追いかけっこでヒューゴ自身によって繰り返される。映画とは、さまざまな過去の映像の引用から成り立っているのは周知の事実ながら、この映画ではあからさまにその過去の映像が繰り返されている。

そしてジョルジュ・メリエスへの愛こそが、この映画の神髄であり感動の源だ。メリエスの人生そのものが、史実に近い形で再現されている。20世紀の魔術師メリエスが数々の芸術的魔術的な映画を撮った後、負債を重ねフィルや衣装やセットを焼き払い、晩年はモンパルナス駅でキャンディと玩具を販売して生計を立てていたのは史実らしい。それを孫娘のマドレーヌが「魔術師メリエス」として祖父の生涯を伝記として残しているのだそうだ。

この映画でメリエスの驚くべき夢のような映像の魔術が引用されているのが何よりもうれしい。手品師として成功していたメリエスがリュミエール兄弟が作った見世物小屋での映画を見て、映画はマジックだ感激して、映画を撮り始めた。人をアッと驚かせ、幻惑させ、夢の世界へ誘うというメリエスの映画的態度こそに映画の原点がある。人が突然に消失したり、変身したり、人魚や女神になったり、首が身体から離れて音符として並んだり、月世界に旅したりするメリエスの想像力の源泉は、人を驚かせ、楽しませ、夢へと誘うという欲望から発せられている。ついにはフィルム一コマ一コマに手描きで色までつけて、世界最初のカラー映画まで仕立て上げてしまうのだから、その精神は筋金入りだ。メリエスはストーリーを考え監督するだけでなく、自ら主演し、美術セットを作り、背景も描いたというワンマン映画作家であり、まさに魔術師であり芸術家であり、天才だった。

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映画が小説とは違って、メカニカルで科学的な技術と人間の想像力が組み合わさって出来上がる総合芸術であるということをらためて思い出させてくれる。そこには機械と人間の夢の調和がある。玩具のネジやゼンマイ、時計の巨大な歯車が中心的テーマとして描かれる。そこにはアナログ的な人間の手作業と機械との融合がある。絵を描く機械仕掛けの自動人形が象徴するように、機械は人間の夢や想像力を実現してくれるものだった。そんなアナログな時代への郷愁とともに、われわれはもう一度、活劇アクションの面白さと人を驚かせ、現実で見えない世界を見せてくれる夢の機械としての映画の面白さを、再発見する必要があるのかもしれない。



原題:Hugo
製作国:2011年アメリカ映画
配給:パラマウント
上映時間:126分
上映方式:2D/3D

監督:マーティン・スコセッシ
製作:グレアム・キング、ティム・ヘディントン、マーティン・スコセッシ、ジョニー・デップ
製作総指揮:エマ・ティリンガー・コスコフ、デビッド・クロケット、ジョージア・カカンデス、クリスティ・デムブロウスキー、バーバラ・デ・フィーナ
原作:ブライアン・セルズニック
脚本:ジョン・ローガン
撮影:ロバート・リチャードソン
美術:ダンテ・フェレッティ
編集:セルマ・スクーンメイカー
衣装:サンディ・パウエル
音楽:ハワード・ショア
キャスト:エイサ・バターフィールド、クロエ・グレース・モレッツ、サシャ・バロン・コーエン、ベン・キングズレー、ジュード・ロウ、レイ・ウィンストン、クリストファー・リー、ヘレン・マックロリー、リチャード・グリフィス、フランシス・デ・ラ・トゥーア、エミリー・モーティマー、マイケル・スタールバーグ

☆☆☆☆4
(ヒ)
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    9,「エリックを探して」
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    9、千年の祈り
    10、シルビアのいる街で
    次点、闇の列車、光の旅

    3、川の底からこんにちは
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2009年映画ベスト10
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<日本映画>
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