「ネットワーク」シドニー・ルメット

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テレビ局の虚飾の内幕をテレビ界出身のコンビ、脚本家パディ・チャイエフスキーとシドニー・ルメット監督が描いた作品。まさに社会派と言われるシドニー・ルメットらしい問題作。

ニュース・キャスターのハワード・ビール(ピーター・フィンチ)が降板を告げられ、テレビカメラの前で「明日、自殺する」と告白する騒動から始まる。視聴率、営業不振にあえぐテレビ局UBSのニュース番組の舞台裏。視聴率を稼ぐためになりふりかまわずニュース番組をショー化するテレビ局。極左過激集団の銀行強盗さえ、インパクト重視で映像を流し、番組化してしまう無節操ぶり。さらにニュース・キャスターのハワード・ビールが天啓を受けて、憑かれたように「怒りを我慢するな」と語り出すことで、人気者になる。親会社の人事や経営問題、編成のやり手のキャリアウーマン(フェイ・ダナウェイ)とテレビ・プロデューサー(ウィリアム・ホールデン)の恋も絡めながら、バカバカしいほどのテレビ局の虚像ぶりがあぶりだされていく。

なかでもちょっと面白かったのが、UBSの新オーナー、アーサー・ジェンセン(ネッド・ビーティ)がハワードに「企業宇宙理論」を語る場面だ。アラブの石油資本がテレビ局に出資をしていることを批判したハワードに対してオーナーは、「いまや巨大企業はアメリカという国家さえも超えている。グローバルな企業の集合体こそ、国家の枠組みを超えて大きな力を示し、その前では個人という概念さえもなくなるのだ」と力説する。これはまるで今のグローバル市場主義そのものを言い当てているではないか。国家さえも制御できない市場原理。民主主義が行き詰まり、巨大な企業資本が世界を動かし、個人が抹殺されていく時代が予見されていた。

その高度資本主義と併走するように刺激を求めて嘘の物語を生産し、消費し続けるテレビ局の愚かさ。老テレビマンのウィリアム・ホールデンは、フェイ・ダナウェイに「君はテレビそのものだ。他人の苦しみを感じられない。」と非難し、刺激だけを求め続けるテレビ局と彼女自身を重ねる。そして、妻と積み上げてきたささやかな生活の大切さに気づき、日常に戻っていくのだ。

そして映画の終わり方も皮肉だ。殺人さえもショーにしてしまい放送されるのだから。

最近ではよくあるテレビの内幕モノだが、リアリティを越えて大袈裟に皮肉ってしまうあたりが、当時としては衝撃的だったのかと思う。嘘の物語に振り回され続ける人間たちの滑稽さが戯画的に描かれている。


ネットワーク(1976)
原題:NETWORK
上映時間 121分
製作国 アメリカ
監督: シドニー・ルメット
製作: ハワード・ゴットフリード
脚本: パディ・チャイエフスキー
撮影: オーウェン・ロイズマン
音楽: エリオット・ローレンス
出演: ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、ピーター・フィンチ、ロバート・デュヴァル、ネッド・ビーティ、ウェズリー・アディ


☆☆☆3
(ネ)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 社会派

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