我が家に事件が起きた・・・。

連休中、我が家に事件が起きた。

やっと札幌も暖かくなって、我が家の狭い庭にも春がやってきた。今年は家庭菜園で何を作ろうかと楽しみに思案しつつ、まずは土作りをしていた。石灰や堆肥を土に入れ、庭を耕す。毎年春一番に芽を出すアスパラは例年よりも遅かったが、今年もニョキニョキ3本、早くも芽が出てきた。去年収穫したニンニクはその数片を秋に植えたので、その芽もしっかり生えてきている。生命の力というものには、いつも驚かされる。あの寒い雪の下でも、命は確かに息づいているのだ。

そんな庭作業をしていたとき、妻が突然「あっ」と短く叫んだ。そして、顔をしかめて後ずさった。「どうしたの?」と言いながら、妻の目線の先を追うと、家のデッキテラスの下になにやら白いものが見える。まだ雪が残っているのか?と最初は思った。だが、雪ではない。白いフワフワした毛のようなものが見える。なんだ?近づいてよく見ると、やっぱり雪じゃなかった。その白いものは猫だった・・・。

猫が死んでいるのだ。我が家の庭で。ぎょっとした。毎年冬の間、庭には屋根から雪が落ち、大量の雪の山が出来る。当然、デッキテラスの下は雪で覆われ、春になるまで解けない。冬の初め頃、まだ雪が少ないとき、そのデッキテラスの下に、時々猫がもぐり込んだりしていることがある。野良猫が寒さをしのぐために、その下に入り込むのだ。それを見て、よく我が家の犬が吠えたりする。だから、その猫の死体を見たとき、去年の冬にその場所に入り込んだまま出られなくなった猫だと思った。冬の間雪に閉じ込められて、そこで飢えて死んでしまったのかと…。冬の間、少しづつ我が家の下で命を枯らしていた猫がいたのか…。そう思ってぞっとした。

しかし、その猫をよく見ると、毛足が意外ときれいなのだ。ひと冬を本当にそこで過ごしたのだろうか?疑問もわいてくる。とにかく、この猫の死体を処理しなければいけない。早速、札幌市の保健所に電話してみる。すると、「公共の場所、公園とか道路とかでの猫の死骸は市の保健所で処理するが、個人の敷地内だとそちらで処理してくれ」と言うのだ。「ゴミ袋にでも入れて、ゴミの日に出せばいい」と言う。「えっ?」。いくらなんでもゴミの日に猫の死体は出せない。どうすればいいのだ?しばし妻と顔を合わせて途方に暮れる。猫の死体を火葬場にでも持って行って処理してもらうしかないのか?

電話帳やインターネットで調べた結果、ペット霊園やペット火葬を請け負っている業者が取りに来てくれることが分かった。8000円ほど料金がかかると言うが、それはもうこの際、仕方がない。自分で飼っていた猫ではないので、あまり触りたくないのだ。どこも処理してくれるところがなければ、自分で猫をどこかに持って行くしかないかと思っていたが、取りに来てくれる業者がいるのならと、お願いすることにした。

1時間ほどで、その業者の男性が猫の遺体を入れるトランクを持ってやってきた。白い手袋をして、庭のデッキテラスの下から猫を丁寧に抱え、トランクの中にしまう。僕たちは手を合わせながら、その様子を見守る。猫の毛はまだきれいで、死体はそれほど痛んでいなかった。猫は木の枝をくわえていた。業者の人に聞くと「数日しかたっていないんじゃないですかね。雪が降る前に入り込んでいたら、もっと死体は湿っていて痛んでいたでしょうけれど、まだきれいですからね」と教えてくれた。少しほっとした。とすると、この猫は寒い冬をやっと越して、春先に病気にでもなってここへやってきて死んだのか…。木の枝をくわえていたのは、お腹がすいていたからなのか…。猫はまだ若く4~5歳ぐらいで、老衰や飢餓による衰弱死というほどやせ細ってはいなかった。まだきれいな感じだった。たぶん病気だったのだろう。せっかく冬を越したのに…。やっと春が来たというのに。北海道は東京ほど野良猫はいない。野良猫の環境としては、北海道は厳しいのだ。それにしても、我が家で死ななくてもなぁ…。やれやれだ。

猫は死に場所をもとめて家を出ると言われている。飼っている猫でも、死にそうになると家出するという話を聞く。この猫も死に場所をもとめてここに辿り着いたのか?よりによって我が家へ。たまたまここだったのか、よくこの場所に来ていたのか、それはよくわからない。猫が弱ってニャアニャア鳴いていれば、気づくのだが、そんな声もしなかった。静かに死に場所をもとめてここに来たのか。いずれにせよ、我が家の庭で命を果てたということだけは確かだ。まだ、冬を越して痛んだ状態で死体が見つからなくてよかったと思う。臭いがするほど痛んでいたら、とても見られたものではなかっただろう。死臭は全く感じられなかった。

それでも、無事、火葬場に連れて行ってもらい供養されるということなので安心した。連休中で業者も来てくれなくて、何日も猫の死体が家の下にい続けていたら居心地が悪かっただろう。業者に引き取ってもらう時に、猫に名前をつけてくれと言われ、とりあえず「ノラ」を書き込んだ。縁あって、我が家の家の下で眠りについたノラよ。安らかに眠って欲しい。合掌。

春は命が芽吹く時でもあり、冬を越えて命が力尽きる時でもあるのか。自然の厳しさをしみじみと感じつつ、春の花が咲き出すのを見て心が和むのだった。
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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映画にまつわる雑文です。
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