「サウダーヂ」富田克也 

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去年公開された日本映画で比較的評判が良かった『サウダーヂ』をやっと観る。面白かったけど、とにかく長い!

山梨県甲府市。都市部ではなく郊外の地方都市に進む空洞化と不況の波。アジアからだけではなくブラジル移民も多く、ちょっとした無国籍的移民都市である。そんな町の様々な現実をそのまま切り取って見せている。そこには作為的なものがあまり感じられない。物語をあえて作っていないのだ。だから、当然ダラダラと長くなる(2時間47分!)。とにかく登場人物がダラダラとグタグタと喋っている。それをワンシーンワンカットのように、引きの画面のまま切り返しなどせずに撮っている。だからドラマっぽくない。作られた映像、嘘っぽく見えないのだ。たいした物語も起きない。衝突や葛藤はちょっとばかりはあるけれど、それもちょっと仕掛けた程度だ。基本的には、冒頭のラーメン屋での土方の二人の会話のように、とりとめもない日常会話がカメラの前で繰り返されるのだ。当然、あえてドラマ的な進展もないグタグタ会話をカメラの前で演じさせるのだ。有名な役者も出ていない。そこが面白いとも言えるし、この映画のつまらなさとも言える。だから退屈といえば退屈だ。

シャッター通り商店街と大手資本の郊外型スーパーの進出、不況でどんどん仕事が減っていく土方仕事、パチンコ業界にさえ不況が押し寄せている。ブラジル移民の存在に苛立ち、行き詰まり右傾化していくラッパー、日本で金儲けをしようと地球の裏側からやってきたブラジル移民も仕事がなく故国へ帰るしかない現実、パブで働き日本国籍を取得して金が必要だと言うタイ女性と、金とは違う何かを求めてタイに行こうと女性を誘う男、大麻やヤクの蔓延、美と健康の金儲け商売と政治家・・・などなど、日本の不況と病巣が地方都市に縮図となってあぶりだされている。その人々の日常的な姿を作為的にならずにそのまま撮っているのがあくまでも面白い。ただそれだけでもある。

地方都市とラッパーを描いて、引きの画面が多いという意味で 『SRサイタマノラッパー』の入江悠との共通点もある。この監督が今後どのような映画を撮っていくのか、注目したい。


2011年日本映画
監督:富田克也 
脚本:相澤虎之助 富田克也 
エグゼクティブ・プロデューサー:笹本貴之 
プロデューサー:伊達浩太朗 富田智美
撮影:高野貴子  
編集:富田克也 高野貴子 
出演:鷹野毅 伊藤仁 田我流(from stillichimiya) ディーチャイ・パウイーナ 
尾愛 工藤千枝 デニス・オリヴェイラ・デ・ハマツ イエダ・デ・アルメイダ・ハマツ 
野口雄介 村田進二 stillichimiya
制作:空族/『サウダーヂ』製作委員会
2011/167min/35㎜/カラー

☆☆☆☆4
(サ)
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ジャンル : 映画

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