「柔らかい肌」フランソワ・トリュフォー

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ひたすら恋をテーマとする映画を撮り続けたフランソワ・トリュフォー。カトリーヌ・ドヌーブの姉、若くして交通事故死してしまった美しきフランソワーズ・ドルレアックが出ている。

いわゆる不倫映画である。足フェチのバルザック研究家、名声もあるピエール・ラシュネー(ジャン・ドザイー)が若き美しきキャビン・アテンダント(フランソワーズ・ドルレアック)に恋をし、田舎のランスに二人で講演旅行に行くも、なんだかうまくいかず、帰ってきたら妻(ネリー・ベネデッティ)と別れ話になり、すったもんだの末に妻に銃で撃たれる物語。物語を書いてしまえば、どうということはないたわいもない話だ。トリュフォーの映画の中では、それほどいい出来ではない。だけどトリュフォーの映画はどれを観てもまぎれもなくトリュフォーの映画でなのある。

オープニング、講演旅行のため飛行機に乗り遅れそうになる慌しい雰囲気がテンポ良く展開される。かわいい娘。妻と友人夫婦。車で急ぎ、飛行機に走りこみ、ヒロインのキャビン・アテンダントのドルレアックに出会うまで。まるで彼女に出会うことを急いでいるかのようなオープニングだ。

そして唐突に挿入されるカーテンの下から見えるドルレアックの足元。靴を履き替える足元をじっと見つめる男のいやらしい目。また、二人がお互いを意識するホテルのエレベーターの視線の会話がまたいやらしい。台詞がない中で何度も視線がカットバックされる。足フェチぶりはいろいろとある。ランス旅行でジーンズ姿のドルレアックの足を見て残念そうな顔をすると、彼女がスカートに履き替えてきてニンマリするシーンがあるし、閉店間際の店にストッキングを彼が買いに行くシーンや写真を撮る場面で、彼女の足の置きかたにこだわって撮影するシーンもある。もっともエロティックなのが、ランスでの夜をうまく二人で過ごせなくなって、田舎のバンガローに朝に辿り着いて、眠ってしまったドルレアックの足をゆっくりと撫でながら、ストッキングを脱がせる場面だ。

まぁ、足フェチのただのいやらしいオッサンなのだが、ランスの講演旅行の夜のドタバタはなんとも笑える。彼女と早く二人っきりになりたいのに、講演関係者や友人につきまとわれて、なかなか自由になれない。講演会場にも入れなかった彼女を気にし続ける男。不機嫌になる彼女。そしてみじめな二人の夜。このへんがトリュフォーの巧さだ。

また妻との別れ話が進み、いざこざがあったあと、離婚が決まったと思ってテンション高く喋り続けるドルレアックをうるさそうに聞く彼の表情を見て、一瞬のうちに不機嫌になる女性心理の描き方も巧みだ。

ただ、妻のラストの豹変はやや唐突な感じがある。カフェから電話をかけようとする彼と銃を持って家を出るタイミングのズレなど、サスペンスフルに描かれているけれど、妻の感情がそれほど描かれていないので、映画の結末としてはうまくいっていない。

そんな映画だけれど、恋の気分の高揚と落下、不器用に恋のために人生を惑わされていく男や女が描かれているトリュフォーならではの面白さはある。


柔らかい肌(1963)
LA PEAU DOUCE
THE SOFT SKIN
上映時間 118分
製作国 フランス
監督: フランソワ・トリュフォー
脚本: フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・リシャール
撮影: ラウール・クタール
音楽: ジョルジュ・ドルリュー
出演: ジャン・ドザイー、フランソワーズ・ドルレアック、ネリー・ベネデッティ、サビーヌ・オードパン、ジャン・ラニエ、ポール・エマニュエル、ロランス・バディ、モーリス・ガレル

☆☆☆☆4
(ヤ)
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ジャンル : 映画

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