「プロメテウス」リドリー・スコット

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SF映画の歴史的名作『ブレードランナー』ほか数々の大作を撮り続けている巨匠である。しかし、僕は彼の映画の熱心な観客ではない。あまり観ていないのだが、この『プロメテウス』が久々のリドリー・スコットの傑作だというある映画評を知って、珍しくこのメジャー超大作を観に行ったのだ。だけど、僕にはどうもピンとこなかった。超大作というよりも、どちらかと言えばB級ホラーの味わいである。それなりにはもちろん楽しめるのだが、とても傑作だとは思えなかった。まだ訳の分からない『ファウスト』のようなヨーロッパ映画のほうが、僕は魅力を感じてしまう。

それでも美術はなかなか素晴らしい。宇宙船の中も、未知の惑星での巨大な宇宙船の無機質なオブジェとか。映画は静かに始まる。古代の自然あふれる地球で、筋肉隆々の宇宙人が何かを飲みほし、巨大な滝壺の中に沈んでいく。人類の起源となるDNAが宇宙人から始まったとされるエピソードだ。人類起源の謎ともいうべき真実があっさり冒頭で示される。そして洞窟での壁画の発見とともに、人類の起源を探る惑星への旅が始まる。

宇宙船で一人、淡々と作業をこなすデヴィット(マイケル・ファスベンダー)が映画のキーとなる謎の男だ。後に彼は人間ではなくロボットであることが判明するのだけれど、近未来の無機的な感じがよく出ている。そして、続々と乗組員が永い眠りから覚めると、宇宙船の中は一気に人間臭くなる。この静から動への転換がいい。

そして、未知の惑星への到着と探索。静かなる墓場のような洞窟の遺跡。宇宙人の死体や無機的なモノたち。それがまた一転、液体が滲み出し、ネバネバしたものが出てきて、奇妙な生物が現れてくる。またしても静から動への転換。死んだとされていたモノが液体とともに蘇る。硬質な無機的なものからネバネバした粘着質な有機的なモノへ。映画の後半部は、かなりのドタバタ、宇宙生物との戦いが繰り広げられる。なかでもスーパーウーマンのノオミ・ラパスは大活躍だ。自ら宿した体内の異物を自動切開手術で取り除き、さらに宇宙人の謎に迫るために戦うのだ。無機的と言えば、シャーリーズ・セロン演じる宇宙船を仕切る女性監督官も無表情に好演。ロボットなのか人間なのかよくわからない。無機的なるモノと有機的なるモノ、静と動が交互に登場するあたりが映画の見どころと言えるのだろう。

ラストはややお笑い的な感じで、衝撃の結末があり、さらに続編を予感させる終わり方…。なんだか、続編への商売っ気がありありでいやだなぁ。この映画が、『エイリアン』とつながっているかどうか?もうずっと昔に見たので忘れてしまった。マニアたちには、その辺のつながり感がきっと面白いのだろう。いつか『エイリアン』を見直してみようと思う。でも、あまり映画的深みを感じないドタバタSF劇だったなぁ。ただ、ノオミ・ラパスが最後まで「十字架のネックレス」にこだわったように、人類の起源がたとえ宇宙人であろうとも、神が人類を創造したというキリスト教的世界観は揺らがないのだなと思った。


原題 Prometheus
製作年 2012年
製作国 アメリカ
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 124分

監督:リドリー・スコット
製作:リドリー・スコットデビッド・ガイラーウォルター・ヒル
製作総指揮:マイケル・コスティガンマーク・ハッファム、マイケル・エレンバーグ、デイモン・リンデロフ
脚本:ジョン・スパイツ、デイモン・リンデロフ
撮影:ダリウス・ウォルスキー
美術:アーサー・マックス
編集:ピエトロ・スカリア
衣装:ジャンティ・イェーツ
音楽:マルク・ストライテンフェルト
キャスト:ノオミ・ラパス、マイケル・ファスベンダー、ガイ・ピアース、イドリス・エルバ、ローガン・マーシャル=グリーン

☆☆☆3
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ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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