テレビドラマ『ゴーイング マイホーム』の小さな神様

最近、日本でも盛んになってきた「ハロウィン」のお祭りは、誰かが商売にしようと盛り上げたのかどうか知らないが、もともとはキリスト教的なものではなく、ケルトに伝わる「サーウィン(Samhain)」という新年の祝うお祭りだったとか。収穫と狩猟が一段落する時期にケルト暦の1年の終わりを祝う祭で、祭りに合わせて牛などの家畜を解体して皮を剥ぎ、祭りの期間中はその皮を身に付けて儀式を行ったと言われている。キリスト教以前の原始的な自然崇拝に関連した祭りであった可能性が高いのだそうだ。

「サーウィン」は、死者を偲ぶための夜でもあった。その夜、死者の霊は生者と共に過すと信じられていた。儀式の詳しい内容は不明だが、数百年前には、サーウィンで家族が先祖のために食事を供え、時には食卓まで用意していたという。

自然なかで人間と動物の霊の交感。あるいは狩猟への感謝。そう聞くと、ハロウィンのかぼちゃ騒ぎもまんざら悪くもない気がしてくる。仮装した霊たちが町に溢れるのだ。七夕だって、お盆だって、節分だって、収穫祭だって、なんだってそんな原始的な自然崇拝の名残りなのだ。自然や霊や収穫への感謝が込められている。

先週の放送でそんな「ハロウィン」も意識的に描かれていたが、是枝監督のドラマ『ゴーイング マイホーム』が楽しくなってきた。CM制作会社のプロデューサー阿部寛が、父が病気で倒れたことで父(夏八木勲)をめぐる不可解な謎に巻き込まれていく話。森に住むクーナと呼ばれる小人の妖精を父は探していたという。大げさなドラマやドタバタは起きないが、寓話のようなささやかな家族のドラマだ。

「神は細部に宿る」という言葉があったけど、これは言ってみれば「小さな神様」の話だ。実利主義者で都市生活者である阿部寛が父の故郷である田舎で人々の間に昔から伝わる伝説に惹かれていく。フードデザイナーとして映画現場で働く妻の山口智子もまた、昔から家に伝わる古いお弁当箱の美しさに惹かれ、お弁当箱に込められた物語を聞く。

大きな物語から小さな物語へ。大きな神様ではなく、小さな神様こそ幸せをもたらしてくれる。都市生活者が忘れていた利害や実利とは別の何かが、地方にまだあることを示唆している。それは時にはクーナという妖精だったり、お弁当箱だったりするわけだ。神は細部に宿るのであり、幸せもまた日常の細部にある。

子役の女の子がなかなかいいのだ。
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