「サイダーハウス・ルール」ラッセ・ハルストレム

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『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』という愛すべき佳作を撮ったラッセ・ハルストレム監督。この映画もとても優しさに溢れたいい感じの映画だ。ジョン・アーヴィングのこの原作は未読ながら、ジョン・アーヴィング的主題が詰め込まれている。生と死、出産と堕胎、セックス、三角関係、赤裸々な親子関係(近親相姦と殺人)などなど。そんな刺激的主題を扱いながらも、人生へのやさしい愛に満ちた物語。

孤児院で育てられた主人公ホーマー(トビー・マグワイア)の無垢な感じがいい。『スパイダーマン』ですっかりお馴染みになった彼だ。海を見たことがない森の中の孤児院で育った少年。孤児院でラーチ院長の助手となるべく産婦人科の医術を叩き込まれるが、ラーチ先生が非合法的に行う堕胎手術には疑問を持つ。孤児となって生まれる命と望まれぬままに失われる命。人生の矛盾…。ある日、堕胎手術に来たカップルとともに、その孤児院を飛び出しホーマーはリンゴ園で働き始める。そのリンゴ園の収穫人の宿舎が“サイダーハウス”である。そこで彼はある女性を助けるために堕胎手術をすることになる。ルール(正しさ)で決められるほど、人生は単純にはいかない。生きていくためには、それぞれの場所でそれぞれの人々のルールがあるだけだ。

孤児院がある駅に列車がやってくる俯瞰ショットから始まり、再びホーマーが列車に乗って孤児院を訪れるまでの数十年間の物語。孤児院にやってくる派手なオープンカーも印象的に描かれる。見たこともないオープンカーに子供たちは大騒ぎ。森に囲まれ外界から切り離された場所にひっそりと建つ孤児院では、「列車」や「車」が、外の世界とをつなぐ特別な乗り物なのだ。

そして、孤児院では寝る前の本の朗読と映画鑑賞が特別な時間なのだ。本を朗読した後に、ラーチ院長は子どもたちに「おやすみ、メイン州の王子、そしてニュー・イングランドの王」と愛をこめてつぶやく。さらに最大の楽しみである「キングコング」の映画鑑賞。何度も同じ場面でフィルムが切れても繰り返し上映される映画。物語こそが、閉じ込められた世界の子供たちにとって、想像力の夢の力である。ホーマーがキャンディ(シャーリーズ・セロン)と映画デートをする時にこの「キングコング」のことが強い思いを込めて語られる。さらに二人のデートはいつも何も上映されていない白いスクリーンの野外シアターの車の中だ。映画の中で使われる「大切な映画の記憶」は『ミツバチのささやき』の「フランケンシュタイン」の映画上映を思い出す。人生と映画の物語はソックリなのだ。


原題 The Cider House Rules
製作年 1999年
製作国 アメリカ
配給 アスミック・エース
監督:ラッセ・ハルストレム
製作:リチャード・N・グラッドスタイン
原作:ジョン・アービング
脚本:ジョン・アービング
撮影:オリバー・ステイプルトン
音楽:レイチェル・ポートマンキャスト
キャスト:トビー・マグワイア、シャーリーズ・セロン、デルロイ・リンドー、ポール・ラッド、マイケル・ケイン

☆☆☆☆4
(サ)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 人生 ☆☆☆☆4

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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