「チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢」マルジャン・サトラピ、バンサン・パロノー

映画館で観た2012年の映画、最後の作品となるのが多分コレ(約50本程度)。アニメの『ペルセポリス』を観て面白かったからと思って観たのだが、実は『ペルセポリス』は観ていなかった。勘違いしていたのは、同じフランスアニメの『ベルヴィル・ランデブー』だった。
自作のコミック「ペルセポリス」を自ら映画化したフランス在住のアーティスト、マルジャン・サトラピが、再び自身のコミックを映画化した初の実写映画。原作は2005年のアングレーム国際漫画祭最優秀作品賞を受賞した「鶏のプラム煮」だそうだ。
なぜテヘランが舞台なんだろうと思ったら、イラン人の監督なのね。主人公のナセル(マチュー・アマルリック)が死んだところから始まる最後の8日間という作りはフランス映画らしく洒落ている。それにしても、マチュー・アマルリックのギョロ目って、どこか生瀬勝久とかぶるんだよなぁ。特にちょっとコミカルな演技になると…。
「人生は吐息、ため息。そのため息をつかめ」とバイオリンの師匠に言われ、失恋という「ため息」を音色に込めて芸術家として成功したナセル。ストラディバリウスを妖しげな骨董屋まで買いに行ってアヘンを吸う煙、母が死ぬとき魂が煙となって再び墓場に現れるなど、煙が強調されているファンタジー。ため息とも煙ともつかぬ形のない妖しげなものをつかもうとして振り回される我々を、劇画調の嘘っぽさで描いているのが微笑ましい。
原題 Poulet aux prunes
製作年 2011年
製作国 フランス・ドイツ・ベルギー合作
配給 ギャガ
監督:マルジャン・サトラピ、バンサン・パロノー
製作:ヘンガメ・パナヒ
製作総指揮:フランソワ=ザビエ・デクレーヌ
原作:マルジャン・サトラピ
キャスト:マチュー・アマルリック、ゴルシフテ・ファラハニ、マリア・デ・メディロス、イザベラ・ロッセリーニ、キアラ・マストロヤンニ
☆☆☆3
(チ)
スポンサーサイト