「笑う男」タヴィアーニ兄弟

笑う男

タヴィアーニ兄弟の映画は、やっぱりいいなぁ。人間の滑稽さも喜びも悲しみも罪深さも不可解さもせつなさも、人間そのものの複雑さをちゃんと描いている。単純な一面的な物語ではないのだ。

この作品はオムニバス形式で2話ある。1話目が、元バリトン歌手の会計係の男が、なぜか眠りながら笑ってしまうという話。なぜ眠りながら笑うのか?妻も疑心暗鬼になり、夫婦仲もおかしくなる。ある夜、家を出て木の下で寝ていた時、男は笑いの原因となる夢を思い出す。それは、足の不自由な親友を笑うという罪深き夢だった。ついに妻は夫とケンカして実家に帰ってしまう。孤独な男。過去の栄光。歌手としてのオペラへの思い。そして、夢の中で秘かに笑いものにしていた友の急死。男は友を貶めた男への復讐を決意する。さらに最後は自殺を図ろうと海へ行く。そこで、かつての歌仲間の美しき女性と再会する。お店の小さなステージで再びかつてのオペラの一場面を歌う機会を得るのだが…。この海での出来事は本当にあったことなのか、はたまた夢だったのか。浜辺には、彼の上着と復讐の手紙だけが残される…。

もう一話は、誘拐された子供と誘拐犯の物語。子供の父親は、マフィア関係者で警察に逮捕され、口止めのために子供が誘拐されたのだ。さらに100年前に誤って誘拐された初老の男のエピソードが紹介される。男は教養と知識があったために、誘拐した若者たちは、初老の男からいろいろと教わる。星と光の時間、地球が回っていることなどを。そして、男は殺されることなく、山で監視されつつ、死ぬまで山で過ごすのだ。帰って来れなかったが、殺されることはなかった誘拐された男の名前は山の名前になった。一方、少年の父親は、警察で自白をし始めた。息子の命より自分を選んだのだ。父は裏切り者のユダではないと信じていた子供。そして無人のホテルでサッカーをしながら、子供の遊び相手をしていた男が最後は子供を殺してしまう。

人間の生の皮肉と矛盾。生と死を分けるものとは?そして罪とは何か?なんと複雑で不可解でわかりにくいものであることか、人間というやつは?

僕は1話目の哀しい笑う男の物語の方が好きだった。2話目は山で過ごした男のエピソードの印象が強すぎて、誘拐犯と子供の話とのバランスが悪かった。いずれにせよ夢の深層心理と現実、100年前の物語と現実の誘拐というように物語が二重構造になっているところが面白い。


笑う男(1998)
原題:TU RIDI
製作国 イタリア
監督: パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ
製作: グラツィア・ヴォルピ
原作: ルイジ・ピランデッロ
脚本: パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ
撮影: ジュゼッペ・ランチ
編集: ロベルト・ペルピニャーニ
音楽: ニコラ・ピオヴァーニ
キャスト:アントニオ・アルバネーゼ、サブリナ・フェリッリ、ルカ・ジンガレッティ、ジュゼッペ・セデルナ、エレナ・ギアウロフ、ダリオ・カンタレッリ、テューリ・フェッロ

☆☆☆☆4
(ワ)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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