「勝手にしやがれ!黄金計画」黒沢清

黄金計画

シリーズ三作目にして、黒沢清節が全開!荒唐無稽な活劇として、行きつ戻りつ、バカバカしいほどに愉快に展開していく。それは、あの黒沢清の初期傑作『ドレミファ娘の血が騒ぐ』を思い出すような快活ぶり。乾いたスラップスティックな活劇として、とても楽しめる。

三作目にして、便利屋の哀川翔、前田耕陽コンビを振り回すヒロイン役の藤谷美紀がピタリとハマった感じで素晴らしい。「ラ・クカラーチャ」のメキシコ民謡を軽やかに歌いつつ、狂言回しとして二人を森の中へ、宝探しの冒険へと連れ出す。ちょっと隙を見せると、家財道具の一切を売り払う食わせ者。寂しがり屋でハイテンションの謎のお転婆娘。お金を作ってジャマイカ行きを夢見るのだが、そのジャマイカさえもどこにあるのだか知らない。男2人と女1人のトライアングル冒険モノは、『冒険者たち』や『突然炎のごとく』など数々の名作を思い出す。1作目のおとぼけヒロイン・七瀬なつみより、快活なでたらめ娘の藤谷美紀の律子の方が、黒沢清の活劇映画にはピタリとハマった。

5000万のお宝ををめぐっての森の中のシーンの移動撮影。行ったり来たりのシーンがいい。追う側と追われる側が逆転したり、まさに右往左往のナンセンス。悪徳刑事(大鷹明良)が不気味に無表情にピストルをぶっ放しつつ、死さえも重くならない。掘った穴を落とし穴にして、ピストルと手だけを出して、土に埋めてしまう場面も冗談のようだ。それでも死んでしまうかもと気になって、哀川翔が森へと引き返すとまたしても追っかけっこ。そして車で呆気なく悪徳刑事は交通事故死。何ともご都合主義的結末。そんなナンセンスぶりが、とにかく楽しい快作だ。

冒頭の哀川翔が網で魚を焼いて飯を食うシーンは、やっぱり『傷だらけの天使』のショーケンのオープニングを意識したのだろうか。


製作年:1996年
製作国:日本
配給:ケイエスエス
上映時間:80分
監督:黒沢清
脚本:黒沢清
撮影:喜久村徳章
音楽:トルステン・ラッシュ
キャスト:哀川翔、前田耕陽、藤谷美紀、大鷹明良、諏訪太朗、三上剛史、洞口依子、大杉漣、天本英世

☆☆☆☆☆5
(カ)

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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : ハードボイルド ☆☆☆☆☆5

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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