「Playback」三宅唱

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面白い映画が現れた。札幌北高出身の新人映画監督、三宅唱。各方面で絶賛されている映画だが、なるほど一筋縄ではいかないで手ごわい映画だ。黒沢清の新作『リアル』もまた何度も観たくなる境界があいまいになる複雑な映画だが、この『Playback』もまた何度も観たくなる時間と空間の反復とズレの映画だ。観ていると混乱する。

時間がまず一つの流れではないのだ。いわゆるタイムスリップものではあるのだが、何度も繰り返される同じようなシーンは微妙にズレていく。人物は同じ男女たちが出て来るのに、時間が違う。人物もちょっと違う。何が現実で何が回想で、何が妄想なのかよくわからない。生きている者と死んでいる者も交錯する。東日本大震災も映画の撮影に影響を与えているらしく、地面が陥没している道が何度も出てくる。そこをスケートボードで通り過ぎる少年、そして俳優ハジ(村上淳)。あるいは村のスケートボーダーたち。あのスケートボーダーたちは、みんな死んだ者たちなのか。

役者であるハジ(村上淳)は、40歳を目前にして人生の岐路に立たされているらしい。全編モノクロ撮影。中国映画のアフレコをやっている場面から始まる。なかなかうまくいかない録音。やる気のない俳優。そんな男の私生活では、妻が荷物を運び出して別れ話が進んでおり、彼は突然、道端でバッタリと意識を失って倒れたらしい。病院で検査をするハジ。そんな男を旧友が訪ねてきて、結婚式に出席するために帰郷する。すると高校時代の学ランを着た彼らにタイムスリップして、何が現実だかわからなくなっていく。そして、何度か繰り返される同じようなシーン。しかし、微妙にズレていく。故郷での旧友たちと奇妙な再会。道路が陥没した場所でのスケートボード。そして再び彼の人生に戻ってくる…そんな話だ。

ラスト、再びアフレコをやる場面では、ハジはちゃんとやる。最初のシーンのように、やる気のない姿ではない。演じる世界に戻ってきた男。この二つのシーンの間で、ハジの中に何がPlaybackされたのか。時間と空間が複雑に絡み合う。そんな映画だ。うまく説明できない。物語自体が僕にもよくわからない。一度観た限りでは…。いや、何度観てもわからないのかもしれない。

学生時代に映画を撮る話がある。先生に紹介されて映画関係者(菅田俊)に会いに行く3人。そして妹のバイク事故があって友人二人はいなくなる。そんな故郷での旧友との再会そのものが映画のようだ。車の中での会話、結婚式、公園でのスピーチの練習、結婚式の夜の宴会、娘の学芸会のビデオを見せる女友達、埃の被ったスケートボードを見つける場面。あるいは、氷の湖で釣りをしていて死にそうになった思い出話。本当にあったことなのか、映画のような妄想なのか、何もわからない。結婚式で現れる幽霊のような友。現在の病院に現れる友(三浦誠己)は、ハジをどこへ連れて行ったのか?友たちはまだみんな生きているのか?

それでも最後は、ハジは映画の世界に戻ってくる。映画という嘘の世界に。そう、これは行ったり来たりする映画だ。向こうとこっち。画面の内と外。今と別の時間。それは、演じ続けることとどこか似ている。Playbackしながら、人は人生を演じ続ける。



製作年 2012年
製作国 日本
上映時間 113分
監督・脚本・編集:三宅唱
脚本:三宅唱
企画:佐伯真吾、三宅唱、松井宏
ラインプロデューサー:城内政芳
撮影:四宮秀俊
挿入歌:ダニエル・クオン、大橋好規
主題歌:大橋トリオ
キャスト:村上淳、渋川清彦、三浦誠己、河井青葉、山本浩司、渡辺真起子、菅田俊

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

Author:Yasuo K  ( ヒデヨシ)
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