「嘆きのピエタ」キム・ギドク

ピエタ

僕はダメだったなぁ。いくらヴェネチア金獅子賞を獲ろうが、熱狂的ファンが多いキム・ギドク作品だろうが、ダメだった。もともと僕は熱心なキム・ギドクの観客ではない。実をいうと、韓国映画の血の濃さと激しさがどうも苦手なのである。もちろん優れた韓国映画もあるし、好きな作品もあるんだけれど、全般的に苦手なのだ。儒教の影響なのか、家族が強く、血の関係も深く、感情も激しい。母子の葛藤映画、そのねじれた憎劇も多い。なかでもキム・ギドク監督作品は激しい。暴力も性も描写が過激で、時に奇抜すぎたりもする。求めるが強すぎるのだ。その過激さゆえの悲劇。だから、過激な描写や物語は物議をかもし、一方で熱狂的なファンも多い。

ただ、この映画、ラストシーンは美しい。このラストシーンを撮りたくて、この映画を作ったのかと思えるほどだ。そういう耽美的映像世界を描くからこそ、歪んだ暴力や性を描く彼のファンも多いのだろう。
「ピエタ」とは、聖母子像のうち、死んで十字架から降ろされたキリストを抱く母マリア(聖母マリア)の彫刻や絵の事を指すそうだ。聖母とキリスト。ラストの引きずられた血の跡は、そんな宗教的美しさが表現されている。

一方で、自分の生肉を食べさせる描写や手をプレスする目を背けたくなる暴力描写や近親相姦的描写など、相変わらずの過激さだ。得られなかった母のを強烈に求める男。ただ、前半部であれだけ情け無用の鬼のような暴力男なのに、後半部になるとガラッと変わる。その変化がついていけない。母の愛を求めて取り乱す男。それがあの非人道的な暴力男なのか。まぁ、そのギャップに納得できるかどうかなのだろう。

彼の前に現れた謎の女、チョ・ミンスも存在感のあるいい役者だとは思うし、町工場の借金まみれの労働者たちの韓国の格差社会の現実を描いているし、工場や家など閉鎖的な空間と台詞を排除した寡黙な表現で息苦しい愛憎劇となっている。墓標となる木もうまいと思う。だけど、失われた母への愛の激しさというテーマが、どうもすんなりと入ってこなかった。激しいよなぁと思うばかりだ。イタリアのマザコン男はまだ笑えるが、韓国映画の愛憎劇はとてつもなく息苦しくなるのはなぜなんだろう。


原題 Pieta
製作年 2012年
製作国 韓国
配給 クレストインターナショナル
監督:キム・ギドク
製作:キム・スンモ
製作総指揮:キム・ギドクキム・ウテク
脚本:キム・ギドク
撮影:チョ・ヨンジク
編集:キム・ギドク
音楽:パク・イニョン
キャスト:チョ・ミンス、イ・ジョンジン、ウ・ギホン、カン・ウンジン、クォン・セイン

☆☆☆3
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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