「里山資本主義」藻谷浩介、NHK広島取材班

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「里山資本主義」という言葉がなかなかうまい。「かつて人間が手に入れてきた休眠資産を再利用することで、原価0円からの経済再生、コミュニティ―復活を果たす現象。安全保障と地域経済の自立をもたらし、不安・不満・不信のスパイラルを超える」とある。

「デフレの正体」の藻谷浩介氏がNHK広島取材班と書いた地方から日本を変える発想だ。地域で水と食料と燃料の地産地消、循環を目指す。刹那的利益優先で問題を先送りするマネー資本主義の行き詰まりとそれを補完するサブシステムとして、里山資本主義を活用するというものだ。

岡山の真庭市の木材の街、銘建工業の木くずを利用した「木質バイオマス発電」の話が成功事例として取り上げられている。木くずは原価0円。その木くずを利用したエネルギー活用をしている。木くずから作る「ペレット燃料」は、韓国への輸出や一般家庭の暖房、農業用ハウスのボイラー燃料など、広がりも見せているようだ。

里山資本主義では、グローバル経済、マネー資本主義の「自分のための消費(ブランド品や高級品)」を求めるのではなく、「つながり消費(家族や地域、社会とのつながりを確認できるもの)」を求め、新しいものをどう手に入れるかという所有価値でなく、今あるものをどう使うかという使用価値へ重心が置かれるようになっている。そして、それは一過性ではなく、長期的、持続的な変化であり、後戻りできない消費傾向だと言うのだ。

「均質であること」よりも「品質のばらつきがあること」の価値、つまり「個性」を大切にしなくなった時代だからこそ、その常識を破ることが大事だという。

また「地域通貨」という考え方も始まっている。地域で豊かさを回す仕組みだ。高齢者施設で、お年寄りの作った野菜などを買い取り、地域通貨として対価を払う。それを高齢者施設のデイサービスやレストランで使えるようにする。こういう地域経済の循環が無縁社会の解決策になる。

我々が発達させてきた社会は、様々な立場の個人を分断し、問題ごとに解決策を講じ、お金をかけて解消していく道筋をたどってきた。老人も、子供も、働きたいのに子供が預けられない主婦も、みんな弱者として扱われる。でも、単体では弱者でも、実は他の人の役に立つし、その「お役立ち」は互いにクロスする。クロスすればするほど、助かる人が増え、それまで「してもらえる負い目」ばかり感じていた人が「張り合い」を目覚め、元気になっていく。

「手間返し」こそ里山の極意であり、お返しの無限のつながりになっていく。そういった里山の知恵が21世紀の福祉先進国を救うことになる。

「日本経済は衰退に向かっているのではないか」という不安は消えない。マネー資本主義は、目先の「景気回復」という旗印の下、問題を先送りしてしまう。国債の残高を積み上げ、原発事故も未来の世代に託す。そんな刹那的行動からおさらばし、お金が機能しなくなっても水と食料と燃料を手にし続けるための究極のバックアップシステムこそが里山資本主義なのだ。

北海道の未来のためにも参考になる考え方だ。
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