「野良猫ロック セックスハンター」長谷部安春

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野良猫ロックっシリーズは、昔、名画座でいろいろと観たような気がするが、これを観たかどうかさえ覚えていない。シリーズ3作目。なんていったって脚本が大和屋竺である。若松孝二や鈴木清順と数々の名作を生んでいる脚本家だ。

ただの無軌道なチンピラたちの抗争劇かと思いきや、これはいたって政治的映画だ。舞台は米軍基地がかつてあった町(立川)。外国人がたむろし、ハーフも多い。「ハーフ狩り」を仲間たちに指示するバロン(藤竜也)は、幼い頃に姉が米兵に強姦されるのを見殺しにした。姉を守れず、何もできなかったトラウマを抱え、今は性的不能者である。そのグループは、いわば傷ついた戦後の日本人であり、町の日本人女性たち、マコ(梶芽衣子)たちのズべ公グループを外国人から守るため、ハーフたちに理不尽な暴力をふるい、「この町から出て行け」と言う。米軍というアメリカの支配からのささやかな抵抗(反安保闘争)。そしてハーフであり、妹を探しにこの町にやってきた流れ者の数馬(安岡力也)が物語の核になる。歌を歌いながらの登場だ。ハーフという立場では、この町では生きていけないのか?それはとりもなおさず、この国での差別問題に発展するし、ある意味、われわれ日本人は米軍支配のもとで生き延びているハーフなのかもしれない。その存在意義が問われている。

ただ映画はとても単純で図式的でバカバカしい。外国人が多く出入りするゴーゴークラブでは、ハーフ美女たちの「ゴールデンハーフ」が「♪黄色いさくらんぼ」や「♪恋人がほしいの」を歌っている(懐かしい!)。黒人たちやハーフがたむろするバーでは、ジャズのブルースが流れ、藤竜也率いる日本人の若者たちは、ジープに乗って暴れまわる。梶芽衣子率いる女性グループは、藤竜也グループとハーフの安岡力也との間を行きつ戻りつ揺れ動く。いわばアメリカと日本の間を。歌が梶芽衣子と安岡力也の二人を架橋する(二人で歌うシーンもある)。それはまるで当時流行っていたゴールデンハーフの歌と同じだ。

つばの長い帽子(さそりシリーズで使われた?)をかぶった梶芽衣子がクールだ。藤竜也も存在感を発揮し、安岡力也はまだ若くういういしい。ラストの火炎瓶騒動や銃撃戦は、何とも唐突だが、まさにそれぞれが存在を賭けた戦争なのである。その幼稚な暴力性はまるで当時の内ゲバのようだ。ハーフの安岡力也は妹とともに自爆するしかなく、性的不能者の藤竜也は、ハーフ(安岡力也)にマコ(梶芽衣子)を奪われないために、刺し違えるしかなかった。自らのグループにハーフがいたように、共同体の純潔幻想は裏切られる。他者に対して不寛容な世界では、いつでも抗争は起きるのだ。


製作年 1970年
製作国 日本
配給 ダイニチ映配
上映時間 85分
監督:長谷部安春
脚本:大和屋竺、藤井鷹史(長谷部安春)
企画:高木雅行、沢田喜代一
撮影:上田宗男
美術:佐谷晃能
音楽:鏑木創
キャスト:梶芽衣子、安岡力也、藤竜也、岡崎二朗、英美枝、小磯マリ、有川由紀、美波節子、秋とも子、青木伸子、ケン・サンダース

☆☆☆3
(ノ)
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tag : 青春 ☆☆☆3

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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