「ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区」

ポルトガル

久々のビクトル・エリセの新作もあり、アキ・カウリスマキの作品もあり、ということでとても期待していたのであるが、う~~ん、という感じ。あまりおススメできません。

「多くの歴史的建造物が残るポルトガルの古都ギマランイスを題材に、ヨーロッパ映画界を代表する4人の名匠が競作したオムニバス作品」なのであるが、オムニバスなだけにややどれももの足りない。

最初のアキ・カウリスマキの「バーテンダー」はいかにもアキ・カウリスマキ節であり、孤独で冴えなくて、客も来ないうらぶれた路地のお店のバーテンダーの一日。台詞はなく淡々と描かれる奇妙な可笑しさはいつも通りである。これはもっともっと観たかったけど、あっという間に終わってしまった感じ。ポスターにあるように、青や赤の色の使い方はいつもながらのセンスである。

2作目のペドロ・コスタの1974年の革命をモチーフにした「スウィート・エクソシスト」は実験作であるが、歴史的背景を知らないとまずちんぷんかんぷん。映像はエレベーターのなかの黒人と亡霊のような兵士の映像がほとんど。1974年の“カーネーション革命”に参加した兵士らしいのだが、他にもいろんな声も聞こえてくる。意識をかなり集中していないと、理解不可能。私は全く別のことを考えたりしてて、集中できませんでした。すいません。

3作目「割れたガラス」は、大好きなビクトル・エリセである。「ミツバチのささやき」や「エルスール」など寡作ながら詩情豊かな映画を作るスペインの映画作家である。ヨーロッパ第二の繁栄を極めた紡績工場が閉鎖され、今は廃墟となって「割れたガラス」と呼ばれている。その工場で働いていた人々の記憶をカメラの前で語るドキュメンタリーのような作り。過去の写真の人々の表情とラストのアコーディオンの演奏が人生の哀感を誘うのだが、やや物足りない。やはりちゃんとした本編の彼の映画が観たい。

最後は、ギマランイス城を舞台に描いたマノエル・デ・オリべイラ監督作「征服者、征服さる」。ポルトガルがここから生まれたという歴史的遺産を見物する観光客が皮肉を込めて描かれる。ポルトガルという国を作った征服者が観光客のカメラによって征服される…。まぁ、どうということはない小品。

最後を除くと、3作品とも「働くこと」がテーマか。1作目目は、店を繁盛させるために働くが思うようにうまくいかない男の人生。働くことは「人」と結びついている。2作目のカーネーション革命話は、どうやら「移民による過酷な労働」から「労働環境の改善」を求めて蜂起した革命だったらしい。その時の自国民と移民たちとの確執がいろいろあったそうだ。過去の革命を通して語られる「労働」の意味。そして3作目は、紡績工場で働いた人々の過去のエピソード。働くことの厳しさもあったが、人生そのものでもあったという人々の顔が印象的。それぞれの監督が、ポルトガルの歴史の中に「働くことの人生」を描いたようにも思える。

ただ、オムニバスは時間があまりなく中途半端で、期待が大きかっただけに、ちょっとガッカリの映画でした。

原題 Centro Historico
製作年 2012年
製作国 ポルトガル
配給 ロングライド
監督・脚本:アキ・カウリスマキ、ペドロ・コスタ、ビクトル・エリセ、マノエル・デ・オリベイラ
キャスト:イルッカ・コイヴラ(バーテンダー)、ベントゥーラ(ヴェントゥーラ)、アントニオ・サントス(兵士)、リカルド・トレパ(ガイド)

☆☆☆3
(ホ)
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テーマ : 映画レビュー
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tag : 歴史 ☆☆☆3

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