「いとしきエブリデイ」マイケル・ウィンターボトム

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「ひかりのまち」 「バタフライ・キス」「日蔭のふたり」「I Want You」などは見たイギリスの映画監督マイケル・ウィンターボトム。特に「ひかりのまち」と「I Want You」は印象に残っている。ドキュメンタリー風ながら美しい映像がいつも印象的だ。「イン・ディス・ワールド」「マイティ・ハート 愛と絆」「ウェルカム・トゥ・サラエボ」などは未見だ。

この映画は5年間かけて子供たちの成長とともに撮影されたその「時間」が刻みつけられている家族の映画だ。その「時間」こそが家族にとって重く愛しい映画だ。つまり「時間」が主役といってもいい映画なのだ。

刑務所にいて父親不在のある家族の5年間の日常が淡々と描かれる。劇中の幼い兄妹には実の4兄妹。撮影スタート時にそれぞれ8歳、6歳、4歳、3歳だった兄妹が成長していく過程を、実際に5年間の歳月をかけて撮影した。母カレンと父イアンを演じるのは、「ひかりのまち」のシャーリー・ヘンダーソンとジョン・シム。

カメラは家族の日常を捉え続ける。事件はこれといって何も起きない。繰り返される刑務所の父親への家族の訪問。列車に乗り、バスを乗り継ぎ、刑務所の面会のために身体検査を受け、父親と繰り返される再会。抱擁、キス。そして近況を尋ねる父と子供たちとの会話。それが時間を経過しつつ、何度も繰り返される。子供は成長し、難しい年頃になり、父親に会いに行きたくないと言ったりもする。父親にやがて外出許可が出て、家族は街や公園で会ったり、自宅に一日帰って来たりする。そのたびに繰り返される抱擁やキス。そして、一緒に歩く家族の姿。

そんな家族を捉えるカメラの人物中心のタイトな映像と家族が住むイギリス郊外の田舎の広い風景が対照的でいい。特に豊かな自然を捉えたロングショットが美しい。森や林、麦畑、田舎の道、そして海。

寂しさから妻は別の男性と過ごす時間が増え、その男性と家族が海に一緒に行く場面がある。それなりに幸せそうな家族の風景にも見えるが、観客はどこか居心地が悪い。だから、ラストの家族6人で行く海の場面は、マイケル・ナイマンの美しい音楽とともに胸がつまる。海に向かってなぜ人は走り出すのだろう。その広い広い海辺と6人家族以外は誰もいないその映像がとてもいいのだ。海辺は人を癒す。『潜水服は蝶の夢を見る』というフランス映画でも、突然障害者になった男性と家族がひと時を過ごす美しい海辺の場面があるが、あの場面でもそのせつない幸福な時間に泣けてきたのを思い出した。この映画のラストの海辺は、そんなせつない時間が詰まった美しいシーンになっている。

物語は何も起きなくても、子供たちが成長し変わっていく時間が映像に刻み付けられていることが重い。その成長の時間が、父親不在の空白のまま積み重ねられる。家族とはそんな積み重ねの時間を共有することなのかもしれない。その時間の積み重ねこそ、家族が家族であり続けることなのだろう。そんな空白の時間をなんとか家族みんなで埋めようとすることが愛おしくせつない。その家族のそれぞれの思いがとても感じられる映画なのだ。

マイケル・ウィンター・ボトム作品

原題 Everyday
製作年 2012年
製作国 イギリス
配給 クレストインターナショナル
上映時間 90分

監督:マイケル・ウィンターボトム
製作:メリッサ・パーメンター
製作総指揮:アンドリュー・イートン
脚本:ローレンス・コリアット、マイケル・ウィンターボトム
撮影:ジェームズ・クラーク、ショーン・ボビット、マルセル・ザイスキンド、サイモン・ティンドール
音楽:マイケル・ナイマン
キャスト:シャーリー・ヘンダーソン、ジョン・シム、ショーン・カーク、ロバート・カーク、ステファニー・カーク、トリーナ・カーク、ダレン・タイ

☆☆☆☆4
(イ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : 家族 ☆☆☆☆4

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『いとしきエブリデイ』お薦め映画

演技なのか地なのか、子どもたちの会話はとても自然だ。次男ショーンが母親に詰問されて泣き出すシーンなどは、あんまり可愛いいので逆に吹き出してしまった。離れていても家族がいることの大切さ、愛する者と一緒に過ごす時間の有り難さ、ありふれた毎日の素晴らしさを教…

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