「ブリング・リング」ソフィア・コッポラ

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米ロサンゼルス・ハリウッドで現実に起きたティーンエイジャーによる窃盗事件を題材に映画化。ガーリー映画で定評のある等身大の少女の夢と空虚を描いてきたソフィア・コッポラが、話題になった現実の事件を扱った。

『ロスト・イン・トランスレーション』『SOMEWHERE』『マリー・アントワネット』も含めて、これまで彼女が描いてきた少女は、どこか共感できる部分があった。その美しき夢と寂しさや空虚さにおいて。しかし、この少年少女たちには、共感などできない。ただただ愚かなバカ者たちである。しかし、この彼女たちにこそ、ソフィア・コッポラは現代性を感じたのだろう。時代の危うさとでもいうような。いつもながらのスタイリッシュで華やかで美しき映像ながら、ここには空虚さもなく、ただただ愚かさがあるのみだ。

パリス・ヒルトンが自宅をロケ地として提供したらしく、ハリウッドセレブ達の華やかでゴージャスな豪邸が次々と出てくる。溢れかえるモノたち。靴や洋服、アクセサリーにバッグ。煌びやかな色彩にデザイン。高度消費社会の美しき戦利品。そのセレブたちの生活に憧れる少年少女が、フェイスブックでセレブ達の外出を確認し、ネットで住所を調べ、豪邸に侵入する。遊び半分の覗きとモノへの欲望が、とめどもなく膨らんでいく。戦利品を身につけ、見せびらかし、自分たちの姿を自分撮りし、ネットでアップする。クラブで吹聴し、ネットでも自慢する。そんな小さな自己顕示欲。日本でも最近、バカな悪ふざけを写真に撮り、ネットでアップして自慢しあっていた。

何も考えていない悪ふざけと自己顕示。そして美しきモノたちへの抑えきれない欲望。セレブ達の生活は、ネットで筒抜けだし、リアルな情報がテレビ番組でも氾濫しているそうだ。ネットは勘違いを誘発する。自分もセレブになれるかのような勘違い。彼女たちには、葛藤はない。不安や恐怖や迷いさえ。虚構と現実の区別さえなくなっているかのように、ゲーム感覚で悪ふざけが続けられる。友人同士の葛藤もケンカさえも描かれない。少年少女たちの映画なのに、セックスさえ描かれない。人と人とが深く関わり合わないで、ただただその場だけでのノリの関係。少女たちは同じようにしか見えない。アクセサリーや衣装で着飾るだけで、生身の身体などどこにも見えてこない。

なんとも救いのない時代になったものだ。

原題:The Bling Ring
製作年:2013年
製作国:アメリカ・フランス・イギリス・日本・ドイツ合作
配給:アークエンタテインメント、東北新社
上映時間:90分
監督:ソフィア・コッポラ
製作:ロマン・コッポラ、ソフィア・コッポラ
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
原作:ナンシー・ジョー・セールズ
脚本:ソフィア・コッポラ
撮影:ハリス・サビデス、クリストファー・ブローベルト
美術:アン・ロス
衣装:ステイシー・バタット
編集: サラ・フラック
音楽: ダニエル・ロパティン、ブライアン・レイツェル
キャスト:ケイティ・チャン、イズラエル・ブルサール、エマ・ワトソン、レスリー・マン、タイッサ・ファーミガ、
クレア・ジュリアン

☆☆☆3
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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