「社会の抜け道」古市憲寿・國分功一郎

抜け道

「絶望の国の幸福な若者たち」で一躍注目された人気の社会学者の古市憲寿氏と小平市都道328号線問題で住民投票運動にも参加した若手哲学者の國分功一郎氏のざっくばらんな対談。

IKEYAやショッピンモールをぶらつきながら、消費社会を考察し、有機栽培をしながら自給自足を目指す実験農場にも出向き、非消費社会と幸福について語り合う。若い二人の論客の思考は柔軟だ。硬直した左や右の思想にとらわれず、「抜け道」を探そうとするのだ。IKEYAには無駄に消費を促す徒労感もある一方で、お母さんたちが唐揚げ食べる溜まり場にもなっている。ユーザーが新しい使い方を作り出す「抜け道」こそ、消費社会の賢さだと二人は言う。

消費社会やグローバル資本主義や新自由主義を否定ばかりしていないで、「抜け道」を探すこと。大雑把な議論では見えてこない具体的な問題について一つ一つ考えていくことこそが大事なのだ。

社会は革命的には変わらないという視点。強大な敵を倒すとか、新しい政治家が登場することで、社会なんて変わらない。だけど、「新しい何か」が登場して、ダメなものを一掃してくれる革命への願望や欲望には抗えない。しかし、その「新しい何か」への願望は、本当に解決しなきゃいけない具体的問題から目をそむけることでもあると國分は言う。対立や二分法を越えて、ガラッと社会を変えるのではなく、少しずつ自分たちのまわりから変えていくことの大切さを語る。

スウェーデンの子供たちは、小さいときから、自分たちの身の回りのことを自分たちで決めさせると言う。そうやって自分たちで決めていく意識を育てていく。自分と違う意見の人がいて、どうやったら違う意見の人と話が出来るか、どうやったら物事を変えられるかを理解していく。そうやって、変えてみようと思う範囲を少しずつ広げていくこと。マクロ的ではなく、ミクロ的に具体的に社会を考えていくことで、硬直したシステムや思考から自由になりつつ、対話が生まれてくる・・・。そんな柔軟性を二人の会話から感じた。

「食」に対する感心や意識が高く、食べる喜びや幸福について考える國分と、栄養分を補給するだけでいいと食べることを考える古市との間に大きな差があるのも面白かった。物事の根本を考えようとする國分と、簡単に物事をすまそうと考える現代若者的な古市との差でもあるような気がした。


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