「楽隊のうさぎ」鈴木卓爾

うさぎ

ういういしい学園青春映画だ。演技経験のある人もない人も、吹奏楽経験のある人もない人も、一つの映画という虚構に
関わっているその姿が感動的なのだ。映画に関わることは、吹奏楽という音を通じてひつとの音楽(物語)を作り出す作業とも重なるし、虚構でありながらドキュメンタリーのような映画なのだ。それぞれの演技は決して巧くはない。プロの役者たちじゃないのだから当然だ。楽器の演奏だって、決してうまいわけじゃない。だけど、台詞にもあったように、うまい演奏が決して人を感動させる音楽を生み出せるわけじゃない。下手な演奏でも人を感動させることは出来る。テクニックだけではない、その思いや姿勢に人は心を打たれたりする。この映画はそんな映画だ。

鈴木卓爾監督は、カット尻の間合いを大切にしていた。台詞を言った後の顔やたたずまい、そこに台詞だけではない子供たちの真実が写っている。つまりお芝居の虚構の世界だけではない瞬間が見えてくる。物語を説明するためのだけに、台詞や芝居があるのではない。子供たちの佇まいのすべてが、人に何かを感じさせてくれるのだ。その演出を根気よく、丁寧にやっているような気がした。

小さなアラというか、演技の失敗というか残念なところはいっぱいある。タイトルになっている「うさぎ」の存在は微妙な感じだった。しかし、その中途半端ささえ、どこか印象に残る。決して巧いわけじゃないのだけれど、懐かしくういういしくて、学園祭のような、やったことに意味があるような映画。演技することそのものが意識されて、いい映画だったと思えるのだ。



製作年:2013年
製作国:日本
配給:太秦、シネマ・シンジケート
上映時間:97分
監督 鈴木卓爾
エグゼクティヴプロデューサー 榎本雅之
企画・プロデュース 越川道夫
プロデューサー 小林三四郎 財前健一郎 多井久晃
原作 中沢けい
脚本 大石三知子
音楽監督 磯田健一郎
撮影 戸田義久
照明 山本浩資
美術 平井淳郎
キャスト:川崎航星、井手しあん、ニキ前川、鶴見紗綾、佐藤菜月、秋口響哉
宮崎将、山田真歩、寺十吾、小梅、徳井優、井浦新、鈴木砂羽

☆☆☆☆4
(カ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : 青春 ☆☆☆☆4

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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