「無思想の発見」養老 孟司

「同じ」自分など意識が作り出した概念でしかない。
自分とは「創る」ものであって、「探す」ものでは
ない・・・というのはまさにその通り。「変わり続ける
自分」を楽しめばいいのだ。

西欧の「近代的自我」は、キリスト教の中世以来の
「霊魂の不滅」を近代的・理性的に言い換えたものだ
という考えは面白い。「手前」と「テメェ」と言うように、
主体性が曖昧な日本語の特徴から、ゼロという
考えの「無思想という思想」を持つ日本人論を展開
する。無思想のまま、あらゆるものを取り込んできた
節操のない日本人だからこそ、逆に多様性を認める
ことができる。

「同じ」概念世界が秩序という階層を作り、ただ一つ
の「真理」を追求する。その思想が現実に介入する
危険性を指摘し、著者は解剖学者として、すべてが
「違う」感覚世界の重要性を説く。
「同じ」概念世界と「違う」感覚世界の往復運動こそ
が、多様性を維持し、「無思想という思想」を持つ
日本の特異性・可能性を示唆している。

「同じ」で片付けてしまう怠慢、これは「正しい」と
決め付けてしまう危険、感覚世界の「違い」に立ち
戻ることの必要性を改めて思う。人生は四苦八苦、
諸行無常、移ろい続け「同じ」ところに何一つ
とどまっていないのだ。それが生きていること。

2005
筑摩書房
養老 孟司

(む)
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ジャンル : 小説・文学

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

Author:Yasuo K  ( ヒデヨシ)
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