「挑戦」 ビクトル・エリセ ほか

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2組の男女の関係という共通の設定による3つのオムニバス。必ずアメリカ人がよそ者としてやってくる。第3章はビクトル・エリセ監督の幻のデビュー作である。

第1章は、裕福そうな生活をしているスペインのプール付きの家にアメリカの軍人が娘に会いにやってくる。再会していちゃつくアメリカ男と娘、そして不機嫌な父親、さらにその母親もアメリカ男と密かに親密な関係に…。そして衝撃のラスト。3作品ともラストに悲劇が起きるお約束事になっているようだ。

第2章は、スペインの牧場のある田舎にやってきたアメリカ人カップルが、牛と闘牛ごっこをやっているうちに牧場主の家に連れて行かれ、その家の夫婦とよそ者の若いカップルの関係を描いた作品。旅のアメリカ男が牧場主の男に一緒に来た女を金で買わないかと持ちかけ、牧場主と女は馬で出かけ、家に残された男と妻は…。性と暴力と嫉妬。そして悲劇のラスト…。アメリカ人の男がスペインの夫婦の関係を掻き回すという構図は同じだ。

第3章がビクトル・エリセ監督作品。性と男女の閉鎖的関係をモチーフにしたユニークな前2作だが、もっともユニークなのがこの第3章。誰もいない荒野の町にやってきた2組のカップル。アメリカ人の男チャーリーは双眼鏡で小高い岩山の上から入浴中の女と戯れる男を覗く。どうやら一緒に来たもう一組のカップルのようだ。そしてそれを見ているもう一人の女。男と女の視線が交錯する。さらにチンパンジーまで登場し、2組のカップルは揺れ動く微妙な関係であるのがわかる。開かない無人の家のドアに裸で突進するアメリカ男チャーリーとそれを見守る3人。そして、女二人はそんな果敢な男の行為をたたえるかのように、チャーリーと親密になり、関係は3対1となる。そんな中でも張り合う二人の男たち。チャーリー GO!HOME!(アメリカへ)帰れ!と壁に落書きする男。恋愛自由主義の演説をするチャーリー、ふざけながら楽しく盛り上がる二組のカップル。音楽にダンス、草原を走り回り、抱き合う男女。それが後半、チャーリーの性的不能が告白された後では、関係は逆転し1対3となり、アメリカ男チャーリーが語らう友はチンパンジーだけとなる。そして再び悲劇のラスト。チャーリーが仕掛けたダイナマイトで家が爆発し4人は爆死。チンパンジーだけが町から去っていくという奇妙なラスト。かなり唐突なラストだが、これは一体何の隠喩なのか。ただ単純な男女の嫉妬の諍いの構図にしていないところが、エリセらしい。クローズアップやロングショット、そして双眼鏡やストップモーションや音楽の使い方やチンパンジーなど演出の工夫が随所にあり、物語に深みを与えている。


『挑戦』  (1969年、スペイン)
第1章  監督・脚本:クラウディオ・ゲリン
第2章  監督・脚本:ホセ・ルイス・エレア
第3章  監督・脚本:ビクトル・エリセ
監督:クラウディオ・ゲリン、ホセ・ルイス・エヘア、ビクトル・エリセ
脚本:クラウディオ・ゲリン, ホセ・ルイス・エヘア, ビクトル・エリセ
製作:エリアス・ケレヘタ
音楽:ルイス・デ・パブロ
撮影:ルイス・クアドラド
出演:フランシスコ・ラバル、アルフレード・メイヨ, ディーン・セルミア, デイジー・グラナドス

☆☆☆☆4
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2011年映画ベスト10
    3,「ブルーバレンタイン」
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    7,「SOMEWHERE」
    8,「さすらいの女神(ディーバ)たち」
    9,「エリックを探して」
    10,「シリアスマン」
    次点,「エッセンシャル・キリング」

    3,「あぜ道のダンディ」
    4,「マイ・バック・ページ」
    5,「冷たい熱帯魚」

    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
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    7、クレイジー・ハート
    8、ずっとあなたを愛してる
    9、千年の祈り
    10、シルビアのいる街で
    次点、闇の列車、光の旅

    3、川の底からこんにちは
    4、さんかく
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2009年映画ベスト10
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    8、ロルナの祈り
    9、レスラー
    10、夏時間の庭

<日本映画>
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