「リアリティのダンス」アレハンドロ・ホドロフスキー

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1920年代の軍事政権下にあったチリの田舎町を舞台に、幼少期のホドロフスキーと権威的な父親、息子を自身の父親の生まれ変わりだと信じるオペラ歌手の母親との暮らしや、ロシア系ユダヤ人であるがゆえに学校でいじめられて苦しんだ逸話などを、チリの鮮やかな風景と、現実と空想が交錯した幻想的な映像で描く。(映画.com解説より)

アレハンドロ・ホドロフスキーの伝説的カルトムービー「エル・トポ」を観たときはぶっ飛んだ。とんでもない過激でメチャクチャでエネルギッシュで暴力的で、宗教と権力と性とエロス…。フリークスが続々登場し、幻想的カオス的映画だった。1970年代の時代のエネルギーのようなものが詰まっていた。「もしフェリーニが西部劇を撮り、クロサワがイエス・キリストを撮ったら、こうなっただろう」と言われたそうだ。「エル・トポ」は今観ても衝撃的な映画だ。
「エル・トポ」レビュー

松岡正剛がボドルフスキーの自伝的原作「リアリティのダンス」のレビューを書いていて読んだのだが、ボドルフスキーという男は過激なパフォーマーなのかもしれない。彼の肩書きは、演出家、マリオネット制作者、詩人、ハプナー、映画監督、劇作家、演劇者、役者、パントマイマー、彫刻家、タロット占い師、舞台美術家、劇団リーダー、サイコセラピスト、サイコマジシャン、バンドデシネ作家、アニメーター‥‥など。まさに異能なヘンな男だ。松岡正剛に言わせれば、「土方巽も寺山修司も鈴木忠志も、いやいや多くの前衛たちは、ある意味ではホドロフスキーの後塵を拝したのである。」ということになる。「エル・トポ」が公開されて、ジョン・レノンが作品と次回の興行権を45万ドルで買い取ったという噂もあるそうで、多くの前衛アーティストが彼の影響を大きく受けたと思われる。
松岡正剛の千夜千冊「リアリティのダンス」

さて85歳にもなったアレハンドロ・ホドロフスキーは、自分の自伝的原作をもとに軍事政権下にあったチリの田舎町を舞台に、暴君的な父との子供時代の葛藤、ユダヤ人としていじめられた過去の物語が描かれ、後半は暴君だった父親の大統領暗殺の企てと、その魂の遍歴が中心になってくる。巨乳でオペラ歌手のように歌って話す母親や手足を事故で亡くした者たちや怪しげな行者や小人、ペストの病に侵された群衆など、異形なものたちが次々と現れる。さらにエロ・グロ・ナンセンスてんこ盛りだ。病に侵され痙攣する父親に母親が跨り、小便(聖水)をかけて奇跡が起きるなど、もうやりたい放題。

しかしストーリーはいたって単純。共産主義者でありながら強権的な父親は、女の子のような息子を強くしようと暴力的に振る舞う。父の暴力の痛みに耐える息子。そんな父親は、スターリンやチリの軍事政権の独裁者と同じであることに気づく魂の遍歴の旅。いたって図式的で単純なのだ。「エル・トポ」のカオスに比べれば物足りない。派手で過激な幻想シーンはいろいろあるのだけれど、まぁそれだけだ。ただ、このサイコマジシャンとも言うべきアレハンドロ・ホドロフスキーという男の人生は興味深い。


原題:La danza de la realidad
製作年:2013年
製作国:チリ・フランス合作
配給:アップリンク
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
製作:ミシェル・セドゥー、モイゼス・コシオ、アレハンドロ・ホドロフスキー
原作:アレハンドロ・ホドロフスキー
キャスト:ブロンティス・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、イェレミアス・ハースコビッツ、アレハンドロ・ホドロフスキー、バスティアン・ボーデンホーファー、クリストバル・ホドロフスキー、アダン・ホドロフスキー

☆☆☆☆4
(リ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : 幻想 ☆☆☆☆4

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ホドロフスキーいいですよね^_^

Re: タイトルなし

ゆきさん
コメント、ありがとうございます。
ボドロフスキー、異端の映像作家です。いやある時代を牽引した前衛アーティストかな。いずれにせよ、異能の人です。
プロフィール

Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

Author:Yasuo K  ( ヒデヨシ)
札幌でテレビの仕事をしている
オヤジです。
映画にまつわる雑文です。
2006年からの映画レビュー。
それから、本の感想を少し。


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