「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」ウェス・アンダーソン

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「グランド・ブダペスト・ホテル」「ムーンライズ・キングダム」「ファンタスティック Mr.FOX」「ダージリン急行」とチャーミングな映像感覚で最近すっかり注目されている監督ウェス・アンダーソンの初期の話題作を見る。

この映画を見ると、ウェス・アンダーソンは同じ映画を撮りつづけているんだなと思った。ウェス・アンダーソン特有の映像空間、個性的な人物たち、そして寓話的物語、その寓話的物語に込められている愛と家族の再生。

これは、テネンバウム家の家族の物語である。子供3人は全員天才児といった特異なキャラクター造りもウェス・アンダーソンお得意だ。ナレーションを駆使しながら、寓話的に一気に家族の人生が語られる。ある架空な家族のお話というわけだ。リアリティよりもおとぎ話のような寓話性が特徴だ。それは最新作「グランド・ブダペスト・ホテル」も「ムーンライズ・キングダム」も同じだった。「グランド・ブダペスト・ホテル」は、ホテルを舞台にした物語だったが、これもテネンバウム家を舞台にした物語だ。

本作は、地方都市の名家の栄光と没落を描いたオーソン・ウェルズの『偉大なるアンバーソン家の人々』にインスパイアされた作品なんだそうだ。脳天気なオヤジのロイヤル(ジーン・ハックマン)は、まるで家族のことなんか考えていない自分勝手な男。考古学者である妻エセル(アンジェリカ・ヒューストン)を何年もほったらかしにしておきながら、妻が黒人の会計士(ダニー・グローヴァー)と結婚しそうになり、金もなくなってホテルを追い出されそうになるや、自ら余命数カ月のガンだと嘘を言って、家族の元に戻り、妻の結婚を邪魔をし、家族再生を試みるのだ。なんとも勝手な話である。だけど、その脳天気さがいいのだ。長男チャス(ベン・スティラー)とそっくりな孫たちと一緒に子供のように遊ぶ場面がまたお茶目で楽しい。

3人の子供はいずれも天才児だが、物語はその天才児が20年たって、自分を持て余している時代を描いているところが面白い。長男のチャス(ベン・スティラー)は10代そこそこで金融ビジネスマン&発明家として大成功、長女で養女のマーゴ(グウィネス・パルトロー)は12歳で劇作家デビュー、次男のリッチー(ルーク・ウィルソン)はテニスプレイヤーとして将来を渇望されていた。それが、今はそれぞれ人生の壁にぶち当たっている。そこには、人間関係を上手く作れない子供たち3人がいる。他人との距離感というようなものを。

ウェス・アンダーソンが好きな舞台というのがある。建物、ホテル、屋敷、部屋(特に狭い部屋)、テントの中の密室空間、エレベーターの中、窓、墓地・・・などなど。彼の登場人物たちにとって、パーソナルな居心地のいい空間というものがとても大事なのだ。この映画では、父・ロイヤルはホテルの一室を借りて住んでいるし、3人の子供たちの部屋はそれぞれ個性的だ。さらに長女のマーゴは夫(ビル・マーレイ)と暮らしながらうまくいかず、なぜかバスルームに閉じこもる。その個室からいかに出て、他者と関わりを持てるのようになるのか。その関係づくりの基礎となるのが、家族という単位であり、愛と距離感なのかもしれない。そのことを軽いコメディータッチで、滑稽に楽しく描くのがウェス・アンダーソンなのだ。


原題:The Royal Tenenbaums
製作年:2001年
製作国:アメリカ
配給:ブエナビスタ
監督:ウェス・アンダーソン
脚本:ウェス・アンダーソン、オーウェン・ウィルソン
製作総指揮:ラッド・シモンズ、オーウェン・ウィルソン
製作:ウェス・アンダーソン、バリー・メンデル、スコット・ルーディン
撮影:ロバート・イェーマン
キャスト:ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティラー 、グウィネス・パルトロウ、ルーク・ウィルソン
オーウェン・ウィルソン、ダニー・グローバー、ビル・マーレイ

☆☆☆☆4
(サ)

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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 家族 ☆☆☆☆4

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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