「秘密と友情」春日武彦・穂村弘

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精神科医の春日武彦と歌人の穂村弘の対談本なのだが、とにかく二人とも「変!」。現実に対する違和感は誰でも感じるものだし、「そんな風に考えるのは自分だけ?」と誰もが悩むこともあるだろう。この本を読むと、この二人のヘンさに安心する。いろいろな違和を感じて生きている二人。なんでこんな考え方するんだろう?と笑いたくなるほど、いろいろ変な話が出てくる。

穂村弘は、春日武彦に初めて会ったとき、「あ、この人は変」と直感し、どんな流儀をもちいて現実を渡世しているのか、その秘密を探りだしたい欲求に駆られたという。
「どちらも一人っ子で、子どもはいない。しっかり者で仕事を持った妻がいるけど、世間をソツなく生きていくには不器用で、地に足がついておらず、常に自分の生きている世界に対して違和感と居心地の悪さを覚えていて、それを克服するためには言葉を以て世界を分節し直すしかないと切実に思っている」と春日武彦も書く。

人間の悩みの核は、「無根拠な死」みたいなもの。我々はいつどの瞬間にも無根拠な死を迎える可能性がある。今、無根拠な死は日常の中にいろいろ形を変えて存在していて、それに対する反応も過剰になっている。昔の日本人は、自然のサイクルに乗って死を迎えるという感じだった。でも最近は真っ向から闘おうとする。個別徹底抗戦みたいになり、、問題はすべて外注化する。アンチエイジングもダイエットも医療も。(穂村弘P61)

「歌や詩は本来、世界や神との垂直の関係性のツール、見果てぬ夢に架ける梯子であって、「今日、何食う?」で完璧に意味が通じるような水平方向の言葉とは全然違うんだよ。だけど、現代は水平方向のやり取りだけでみんな疲弊しきっていて、言葉がどんどんフラットになるから、決定的な呪文が書かれた経典を探しに行く「西遊記」みたいな発想はとても持てないんだね。」(穂村弘P208)


現実に不器用に対峙する二人は、日常で感じる様々な違和を通じて、何かを考え、表現しようとしているのかもしれない。まぁ、肩が凝らずに楽しく読める変な二人の対談集である。
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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