「さよなら歌舞伎町」廣木隆一

歌舞伎

新宿歌舞伎町のラブホテルで繰り広げられるそれぞれのカップルの人間模様。ややご都合主義的な設定もあるが、「ヴァイブレータ」「やわらかい生活」の廣木隆一監督×荒井晴彦脚本コンビによる現代ののオムニバス映画。女性を撮ることには定評がある廣木隆一、そしてのドロドロも得意の荒井晴彦。今回はグランドホテル形式で、1日という時間、ラブホテルという空間を限定して、それぞれのカップルが新宿のラブホテルで交錯する。

ミュージシャン志望の前田敦子はいつもギターを背負っている。その彼氏が染谷将太。塩釜出身で、東北大震災を実家は経験して、東京では一流ホテルマンになるつもりだったがなれず、うらぶれたラブホテルの店長をやっている。震災やヘイトスピーチや在日韓国人など現代の新宿の風俗・事象を無理やり詰め込んだ感じがある。震災設定もあまり必然性は感じられない。「さよなら歌舞伎町」というタイトルに込められた都市論とは?かつての猥雑でエネルギーに満ちた新宿・歌舞伎町の熱が次第に失われつつあり、そんな「今」を映画に刻み付けたかったのか?前田敦子と染谷将太は新宿を自転車でのらりくらりと移動する。一方、ラストの時効成立カップルの南果歩と松重豊は自転車で疾走する。その対比がなんだか笑える。

時効直前の隠れて生きている中年カップルのお掃除あばちゃんの南果歩と部屋に籠っている松重豊に制作者側の世代的な思いが感じられる。まるで過激派が地下に潜伏しているかのようだ。だから、ラストの刑事不倫カップル(河井青葉と宮崎吐夢)との攻防は、なんだか皮肉めいていて面白かった。

この映画のエピソードの中心は、やはり風俗嬢の在日韓国娘イ・ウヌとその彼氏のロイだろう。彼に内緒の風俗でお金を溜め、韓国に帰ってお店を開こうとするイ・ウヌがいい。ラブホテルでのお風呂シーンのワンカット長回しはこの映画の最大の山場だ。「私の体を洗って」というシチュエーションは出来過ぎだが、映画としてはいいシーンになっている。

家出娘の女子高生(我妻三輪子)、JKをデリヘルに売り飛ばそうとするチンピラ忍成修吾のカップル、アダルトビデオ撮影で染谷将太の妹(樋井明日香)がやってくる話や立ちんぼ娼婦の殺害事件など、いろんなカップルやエピソードを絡ませている。

それぞれの物語は面白く観れたが、やや無理くりな感じもあった。在日韓国人や風俗関係者や家出女子高生やチンピラなど、現代の新宿で浮き草のようにフラフラしている人々の人生の哀歓は感じられるが、やや物足りない感じ。前田敦子はまだまだだった。


製作年:2014年
製作国:日本
配給:東京テアトル
上映時間:135分
映倫区分:R15+
監督:廣木隆一
脚本:荒井晴彦、中野太
撮影:鍋島淳裕
照明:豊見山明長
音楽プロデューサー:安井輝
音楽:つじあやの
キャスト:染谷将太、前田敦子、イ・ウヌ、ロイ、樋井明日香、我妻三輪子、忍成修吾、大森南朋、田口トモロヲ、村上淳、
河井青葉、宮崎吐夢、松重豊、南果歩

☆☆☆3
(サ)
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ジャンル : 映画

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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

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