「四畳半襖の裏張り しのび肌」「悶絶!!どんでん返し」神代辰巳

神代辰巳の日活ロマンポルノ2本立て上映を観る。神代辰巳は数々の傑作を撮っている。僕は特に好きなのは「赫い髪の女」「青春の蹉跌」「宵待草」などだが、日活ロマンポルノは見逃している作品も多い。機会があったので、観てみたところ、やはり凄い。長回しのワンカットと囁きつぶやきのアフレコ音声が彼の映画の特徴だが、描かれている男女の世界もまた常識を超えている関係だ。それに音楽の使い方がとにかくうまい。映像と音の使い方が並みの監督ではないのだ。

「四畳半襖の裏張り しのび肌」
大正末期から昭和初期。日中戦争が始まる前夜の東京の置屋が舞台。同じ旦那を持つ恋敵の子供を連れ出したところで関東大震災。そのままその子供を育ててしまう話である。その育ての母の芸者が宮下順子。息子の正太郎は早熟。男女を問わずに絡んでいく。精液が出ない大人になる前の正太郎は、さまざまな肉体に滑り込む。それはまさにの遊戯である。「ででんでんでんでんでん」と唄いながら太鼓持ちの一人稽古をしている正太郎の姿は、男でも女でもない奇妙な存在である。しかし、いつしか精液も出るようなオトナの男になっていた正太郎は、次々と女を懐妊させてしまう。子供ができない映写技師の夫婦や若い芸者など。時代は戦争へ。映画館では「麦と兵隊」という戦争映画が上映されるなか、男と女はセックスをし続ける。「男も女もアレしかないんよ、バンザイ」と芸者の女は叫ぶ。男にも女にも可愛がられ、最後には育ての母ともやってしまうこの少年は、あらゆる人々の懐に入り込むの媒介者だ。あるいは寂しき者たちの慰めものなのか。そして、戦争に突き進む時代の中で、一人満州へ太鼓持ちになるために旅立っていくのだ。

「四畳半襖の裏張り しのび肌」
公開:1974年
監督:神代辰巳
脚本:中島丈博
撮影:姫田真佐久
美術:土屋伊豆夫
主演:宮下順子、江角英明、丘奈保美、絵沢萠子、芹明香、吉野あい、中澤洋、高橋明、花上晃

☆☆☆☆4
(ヨ)

「悶絶!!どんでん返し」
こちらもかなりメチャクチャな男女関係だ。スペインのペドロ・アルモドバルも真っ青の倒錯劇だ。将来を約束されている東大出のエリートサラリーマン北山(鶴岡修)がキャバクラで出会った女(谷ナオミ)とやろうとしたら、その女と暮らすヤクザな男(遠藤征慈)にオカマを掘られて、に目覚めてしまう。女装して女になっていく北山とヤクザな男とその女との奇妙な3人の共同生活。その転落とチンピラの女としての上昇、そして再び転落。人間の上下関係が上になったり下になったりいろんな変化を見せる中、最後はどんでん返しまである痛快さ。鶴岡修の階段での演技が素晴らしい。

この映画では、「あんたがたどこさ」の童謡を唄う矢野顕子の歌がなんとも効果的に挿入される。さらにベルばらの「愛あればこそ」の歌。こんなに効果的に歌が使われている映画を僕は知らない。なんでもありの痛快艶笑劇だ。

「悶絶!!どんでん返し」
公開:1977年
監督:神代辰巳
主演:鶴岡修、遠藤征慈、谷ナオミ、粟津號、宮井えりな

☆☆☆☆☆5
(モ)

「宵待草」レビュー
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Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

Author:Yasuo K  ( ヒデヨシ)
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映画にまつわる雑文です。
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