「おみおくりの作法」ウベルト・パゾリーニ

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日本語タイトルが悪い。いかにも「おくりびと」を意識したタイトルであり、まったくセンスがない。原題は「スティルライフ」。「静物画」というような意味だそうである。ただ、映画はひっそりとした静かな佇まいの佳作である。

孤独死した人を弔う仕事をする民生係の男の物語。その男もまた孤独な日常を送っている。孤独というものは、誰にでもあてはまる。誰もが孤独を感じながら生きている。だから、共感できる余地は誰にでもある。

同じ通りを歩き、同じように家に帰り、同じような食事をする毎日の繰り返し。その単調な時間を民生係の男は丁寧に生きている。自分の孤独さを嘆いているわけでもなく、寂しさで押しつぶされるような弱さを持っているわけでもない。孤独に死んでいった人に寄り添うように、その人の人となりを遺品から感じとり、牧師に語ってもらう文章を考え、その人の人生に合う音楽まで選曲する。遺族や友人などを調べ、その人のことをなるべく丁寧に調べようとする。そして、調査終了となると、その亡くなった人の写真を自分のアルバムに貼り付けていく。まるで、自分の友人であったかのように。

映画は、そんな民生係の男の淡々とした日常を描きつつ、役所の合併で人員整理のため解雇を言い渡されるところから、ドラマが動き出す。民生係の男にとっての最後の男の死をめぐる旅が始まる。

映画は死と向き合い続けてきた男に生きる希望のようなものをさりげなく描きつつ、残酷な現実とファンタジーを描き出す。どんな人間でも親子はいるし、友達もいる。ただ、それぞれの関係がどこかでいびつに捻じ曲がり、関係が疎遠となってしまうだけなのだ。忘れ去られていい人生などどこにもない。誰かがそれなりに必死で生きている。その生きていたことを覚えていてくれる人がいるということは、ささやかなものでも救われる。民生係の男は、どこの誰だかわからない人の死を丁寧に丁寧に扱ってきた。彼がなぜそのような人生を送るようになったのかは、描かれていない。単に人間関係を築くのが不器用だっただけなのかもしれない。その静かで控えめで端正な佇まいをエディ・マーサンは体現している。だからこそ、ラストがせつなく哀しい。

原題:Still Life
製作年:2013年
製作国:イギリス・イタリア合作
配給:ビターズ・エンド
上映時間:91分
監督:ウベルト・パゾリーニ
製作:ウベルト・パゾリーニ、フェリックス・ボッセン、クリストファー・サイモン
脚本:ウベルト・パゾリーニ
撮影:ステファーノ・ファリベーネ
美術:リサ・マリー・ホール
音楽:レイチェル・ポートマン
キャスト:エディ・マーサン、ジョアンヌ・フロガット、カレン・ドルーリー、アンドリュー・バカン、キアラン・マッキンタイア、ニール・ディスーザ、ポール・アンダーソン、ティム・ポッター

☆☆☆☆4
(オ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : 人生 ☆☆☆☆4

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非公開コメント

No title

劇場で本作を鑑賞しました。エディ・マーサンという役者さんの存在感、素晴らしいものがあり、見事なキャスティングだったと思います。印象に残る佳作ですね。

コメントありがとうございます

>天見谷行人さん
派手な映画じゃないけれど、静かに生と死を見つめたいい映画でしたね。また書き込み、いつでもお気軽にどうぞ。
プロフィール

Yasuo  K   ( ヒデヨシ)

Author:Yasuo K  ( ヒデヨシ)
札幌でテレビの仕事をしている
オヤジです。
映画にまつわる雑文です。
2006年からの映画レビュー。
それから、本の感想を少し。


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