「Mommy/マミー」グザヴィエ・ドラン

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2014年・第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で、ジャン=リュック・ゴダールの「さらば、愛の言葉よ」と並んで審査員特別賞を受賞した作品。世界が注目するカナダの俊英グザヴィエ・ドラン監督。私が観たのは「わたしはロランス」に続いて2本目だ。

15歳の息子スティーヴ(アントワン=オリビエ・ピロン)はADHD(多動性障害)。不断は知的で純朴だが、一度スイッチが入ると攻撃的になって手が付けられない。息苦しくなるほどの母と子の濃密な世界。母ダイアン(アンヌ・ドルバル)はシングルマザーで決して人間的にも包容力があるような母親ではない。どちらかというと母である前に女性である。痛々しいほどの母と子の抜き差しならない葛藤。そこにストレスで吃音の障害を抱えた教師カイラ(スザンヌ・クレマン)が向かいの家に引っ越してくる。カイラは逃げ場のなくなるような二人の間の中和役を果たし、スティーヴの家庭教師をするようになる。そして、3人で微妙な調和を見い出す。スティーヴはカイラに惹かれ、ダイアンもまたカイラの存在に心を癒される。吃音のストレスを抱えたカイラもまた二人の存在に心を解き放していく。

1:1という正方形の画面のサイズがより人物関係を濃密に見せる。アップを多用しつつ、人物の内面にまで入り込むように、カメラは母ダイアンの苦悩を、スティーヴの不器用な愛を追い続ける。映画の途中に2回、画面が1:1の正方形からシナマスコープサイズに広がるところがある。狭い息苦しい世界を、スティーヴが広がりのある世界へと画面を押し広げるのだ。あるいは、かなうはずもない母親の夢、幻想。

グザヴィエ・ドランは生きることに不器用で苦しんでいる人物たちを好んで描くような気がする(「わたしはロランス」は性同一性障害を描いていた)。その生きずらい痛々しさとその心の奥に抱える純粋な愛を取り出して見せるのだ。

カイラの家庭を含めた人物像にやや描写不足もあり、ご都合主義的な面もある。音楽の使い方や映像の遊びは、今どきの監督らしい器用さだ。せつない場面もいろいろあるが、タイト過ぎる画面作りに観ていてやや疲れてしまった。


原題:Mommy
製作年:2014年
製作国:カナダ
配給:ピクチャーズ・デプト
上映時間:134分
監督:グザヴィエ・ドラン
製作:ナンシー・グラン、グザヴィエ・ドラン
脚本:グザヴィエ・ドラン
撮影:アンドレ・ターピン
美術:コロンブ・ラビ
衣装:グザヴィエ・ドラン
編集:グザヴィエ・ドラン
音楽:ノイア
キャスト:アンヌ・ドルバル、スザンヌ・クレマン、アントワン=オリビエ・ピロン、パトリック・ユアール、アレクサンドル・ゴイエット

☆☆☆☆4
(マ)
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