「サンドラの週末」ダルデンヌ兄弟

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きついなぁ。ダルデンヌ兄弟は・・・。

彼らは厳しい現実の中に登場人物を放り込む。その過酷な現実の中で、盗み働き、子供を売ってしまったり(『ある子供』)、移民が国籍を取得するために偽装結婚をしたり(『ロルナの祈り』)、父親に見捨てられた少年がある女性と出会い疑似家族のようになる物語だったり(『少年と自転車』)・・・、登場人物たちはいつも孤独に苦悩する。とにかく登場人物を取り囲む厳しい現実を我々に突きつけるのだ。それを淡々とドキュメンタリーのように長回しで撮るため、観ていて単純には救われない。物語としてのハッピーエンドがしっかりあるわけではない。だから、時にグッタリくる。

さて、この作品もまた辛い。うつ病の体調不良で休職していたサンドラは、金曜日に会社から解雇を通告される。せっかく復帰出来ると思っていたのに、会社は職員へのボーナスを支払うために、一人解雇しなければならないと説明する。同僚の助けもあって、月曜にサンドラの解雇を取りやめるかどうかを諮る投票を行うことを会社に約束させる。自分たちへのボーナス支給を選ぶか、同僚のサンドラの復職を選ぶかという究極の選択を16人の従業員が投票で決めるのだ。サンドラは週末に一人一人を訪ねながら、自分の復職に投票してくれと訴え続ける。

映画はそんなサンドラをひたすらドキュメンタリーのように追い続ける。サンドラ以外の視点から客観的には描かない。サンドラに寄り添うようにカメラは、サンドラの心情を追い続ける。そういうところがダルデンヌ兄弟らしい。神の視点では映画を作らないのだ。

玄関先で迷惑そうに対応する従業員。居留守を使われたり、貧しい生活の中でボーナスを当てにしていて、サンドラに申し訳なさそうな顔をする人たち。夫婦喧嘩や親子喧嘩もあちこちで勃発し、情(人間関係や友情)と金銭(経済生活)の究極の選択。サンドラはどんどん追いつめられていく。同情を引くための懇願?自身のズタズタになっていくプライド?自分が復職することで迷惑をかける仲間の生活。励まされたり、落ち込んだり、薬を飲み、もうやめると言いながらも、従業員の家々を回る。夫は車を運転しながら、妻を励まし続ける。

月曜日を迎えたラストは、なんだか潔い。やるだけやったサンドラはサバサバとしてカッコいい。人間的の根源的な苦しみというようなものをじっと見つめるダルデンヌ兄弟の視線は意地悪で残酷だけれど、とてもとても深い。マリオン・コティヤールが化粧っ気のないやつれた顔で演じているのがいい。

『ロルナの祈り』レビュー
『少年と自転車』レビュー


原題:Deux jours, une nuit
製作年:2014年
製作国:ベルギー・フランス・イタリア合作
配給:ビターズ・エンド
上映時間:95分
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、 リュック・ダルデンヌ
製作:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ、ドゥニ・フロイド
脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
撮影:アラン・マルクーン
美術:イゴール・ガブリエル
キャスト:マリオン・コティヤール、ファブリツィオ・ロンジョーネ、オリビエ・グルメ、モルガン・マリンヌ、ピリ・グロワーヌ、シモン・コードリ

☆☆☆☆4
(サ)
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